
掘っても掘っても、怪談、金縛り、化け物、神様、源助柱……。
フミ(池脇千鶴)である。
彼女が、トキとタエ(北川景子)が実の母娘であることを、ことあるごとにやけにネチネチ引っかかっているようなことを言及していた。血は繋がっていないが、赤ちゃんの頃から一緒にいるから感性が似たのではないだろうか。
トキの怪談好きもフミから受け継いだものだった。
松野家の前の共同炊事場に小谷(下川恭平)が再び訪れ、サワ(円井わん)と対面している。
「怪談の他に何かお好きなものはありませんか?」と尋ねる小谷に、サワは「だったら金縛りかな。あと、呪いとか生まれ変わりとかも好きだと思うけど」と返す。
「どれも同じ感じですね」と、どうやら小谷には知りたいことではない情報のようだ。
「あの子はそげな子だけん」
「なんでそういうのがお好きなんですかね?」
「うーん なんでかっていうと……」
とサワは困惑していると、そこへ、じゃーん、
「私が聞かせたからよ」とフミが登場する。満面の笑みで。
引き続き軽やかなピアノ曲が流れるなか、場面は松野家の中に。小谷に、司之介(岡部たかし)と勘右衛門(小日向文世)が「いろいろ尋ねたいんじゃが」「まずは家のことから尋ねよう」とにじり寄っている。
小谷の父は元郡奉行で、家禄は100石。江戸時代、武士の給与は基本的に米で支給されていた。石は米の単位。勘右衛門たちは、小谷の父を知っていた。そして、家の格が同等であることで上機嫌。
「家と家」の話だとがぜん、前のめりに。サワは「家と家」にピンとこないようで首を傾げる。
「まあまあ。縁談だないんですから、そげな堅苦しい話からせんでもね」とフミがたしなめるが。
「小谷さん、うちは一人娘だけん婿入りになるけど、ええですか」とむしろフミのほうが堅苦しい。ただし彼女特有のユーモアだった。
サワが気を利かせて「あなたも尋ねたいことがあるんじゃない」と話題を変える。
再び、小谷がトキの好きなものを聞くと、出てきたのは、怪談、金縛り、化け物、神様、源助柱……。
フミは出雲大社の神官の娘だから、神々や目に見えないものの物語が好きで、その影響をトキが多分に受けて育ったのだ。
ふたりがなにかとネガティブ思考に見えるのもそのせいだと筆者は推察する。







