「合宿なんて時間のムダ」――そう考える経営者ほど危険だ。ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏が「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」と絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。今回、著者の森武司氏の考え方に共感し、経営合宿を2回したのが創業4年目で急成長中のStella Point代表・米川凱氏だ。「小さな会社ほど合宿をすべき」と断言する理由とは?(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「合宿はムダ」と思う社長が実は危ない理由Photo: Adobe Stock

「経営合宿」の意外なメリット

――『スタートアップ芸人』で共感したポイントのひとつとして「経営合宿」を挙げられました。どんな部分が刺さったのでしょうか?

米川凱(以下、米川):自分は大学時代、寮生活をしていました。お風呂に一緒に入って、同じ屋根の下で寝て、深い話をする――そんな経験をすごくいいなと思っていたので、「経営の話をするために合宿をする」というアイデアにはすごく共感できました。

実際にやってみて、一番感じたのは「想像以上に、ビジョンが早く伝わる」という点です。2日間、ほぼ24時間一緒にいる。弱点も含めてすべてあらわになり、それを補い合おうとする関係性が自然に生まれる。これは普通のミーティングでは絶対に起きない。

――誰と行かれたのですか?

米川:僕、副代表、業務委託メンバー、そしてこれからジョイン予定のメンバーの4人です。「きれいごとなしで本音を話そう」という共通認識を持って臨んだのが大きかったですね。

何を議論するのか?

――合宿ではどんなテーマを議論したのでしょう?

米川:ビジョンやミッションをどう体現するか、今後5年10年で会社をどう成長させたいか、どんな順序で人を増やしていくか……いわば“未来の設計図”ですね。

トークテーマは、事前に厳密に決めたわけではなく、半分くらいはその場で「降りてきた」ものでした。でも、「売上目標」「採用人数目標」などゴールだけは決めておき、そこに向かって話すという方針にしていました。

実は「危ない会社」とは?

――合宿はある程度組織が整ってから行うイメージがありますが、少人数のうちからでも効果はあると思いますか?

米川:むしろ、会社が小さいうちからやったほうがいいと感じています。

僕らは創業当初、ビジョンを共有する時間を十分取れていなかったという反省があります。創業初期は、ビジョンを話す機会が意外と少ない。“忙しさ”が理由になって、すれ違いが蓄積してしまう。もし、最初からこういう合宿をしていたら、もっと早く経営陣が同じ方向を向けていたのかもしれません。

逆に、合宿で本音をぶつけ合っていなければ、会社の成長フェーズで意見の衝突が起こったとき、経営陣がお互いの人間性や根幹の考えを知らないために、同じ方向を向くことができず、最悪の場合、組織として空中分解していたかもしれません。「合宿はムダ」と思う会社ほど実は相当危ないと思います

――合宿でなくても、普段の飲み会などで語り合うこともできますよね。それでも“泊まり”にする理由は?

米川:僕は“環境を変える”というのが最大のポイントだと思っています。

普段と違う環境に身を置くことで、普段の思考では出てこなかったアイデアが“降りてくる”。これって本当にあるんですよね。

さらに、非日常な体験を一緒にすることで、仲間との絆も一段と深まります。

それは、みんなで同じ方向を向いて会社を成長させていくうえで、大きな力になると思っています。

――最後に、経営合宿を検討している経営者へメッセージをお願いします。

米川:合宿は、別に立派なホテルでやる必要はないんです。Airbnbでも、キャンプ場でもいい。大事なのは“環境を変える勇気”です。

環境が変わると、本音で語りやすくなる。『スタートアップ芸人』にも書かれていますが、仲間と本音で語る時間は、経営にとって何よりの財産になります。創業期の今だからこそ、試してみてほしいですね。

(本書は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する特別投稿です。)