一方で壁打ちでは、はじめのサーブを打ち込む人が主役になります。

 WHAT?WHY?HOW?と自分が今明らかにしたいモヤモヤのイシューを打ち込んで、相手の返しを受けて、さらに打ち返していく。最後にボールを受け取るのも、はじめのサーブを打ったその人です。

図表:ブレストと壁打ちの違い同書より転載
拡大画像表示

「それってつまり?」「どうしてそれをやりたいの?」「どうやったらそれができるの?」と問いを重ねていくうちに、ビジョンやネクストアクションが明らかになっていきます。

 つまり、「壁打ちをお願いします」とアクションを起こしたその人が、イニシアティブ(主導権)を持ってアイデアを膨らませることができる。誰かからの指示を待って決められたとおりに動くのではなく、自分の中から生まれたアイデアをベースに行動を起こす。壁打ちは「自分起点の思考術」なのです。

会議でも雑談でも1on1でも得られない「壁打ち」の本当の価値とは?『壁打ちは最強の思考術である』(伊藤羊一、飛鳥新社)

 だから「壁打ち」。テニスの壁打ちと同じで、あくまでサーブを始めたその人が主体。相手は「壁」なんです。

 自分が言い出しっぺとしてイニシアティブが持てる。つまり、自分の行動に主体性を持てる。大袈裟に言えば、自分の人生の主役になれる、壁打ちとはそんな行動なのかなと思います。

 それが壁打ちのほかにはない最高の価値なのです。