1)不得意なことで何かを行わせてはならない
「学校の場合はそれでよい。(中略)しかし、組織で人に働いてもらうには、弱みを気にすることなく強みを生かさなければならない」
「個性を変えることはできない」
ここは、ついつい「もっと九九をやりなさい」というような足りない部分を標準に引き上げるための厳しさが顔を出してしまいそうですが、「うまい作文をもっと書いてみない?」というような“秀でた部分を認め、伸ばすやさしさ”が求められるところです。
2)近視眼的に育ててはならない
育てるにあたっては、ついつい「今やっているこの仕事ができるようになろう」と仕事の枠に閉じ込めて考えてしまいがちですが、当人の人生のキャリアとしてどう成長できるかというように大きな見方で見つめていくことが必要です。
もしかしたら、「これだけできていればいいよ」という甘い言葉ではなく、「どうなりたいの?」と先を見るように促す厳しさもリーダー側に備わっている必要があるかもしれません。あるいはこれは見ようによってはその人の人生の幸福を願う深いやさしさともいえますね。
3)エリート扱いをしてはならない
鳴り物入りで入社してきた学歴や職歴の立派な人物を、エリートだと認識してそのように扱ってしまうことはしてはならないといっています。重要なことは実力であって見込みではないのです。
日々の仕事ぶりを厳しく見ていくことが必要です。
これもまた逆に言えば、その人の過去にとらわれず今の仕事を見るというやさしさといえるかもしれません。
3つのNGは、“弱み・目先・過去”の3つに陥ること
吉田:3つのNGは、“弱み・目先・過去”の3つに陥ることでもありますね。
このように「人の成長」というテーマひとつとっても、やさしさと厳しさは混在しています。
だからこそ必要なのは「基準に対する一貫性」
吉田:そこにリーダーの「基準に対する一貫性」が求められます。
ミッションや成果、一人ひとりの強みや貢献といったものを俯瞰的に見たうえで、いまチームにおいてなすべきことは何かに挑んでいかなければなりません。
やさしさと厳しさは、どちらもリーダーの真摯さという同じ根から生まれる態度です。
細かな状況は日々変化していきますが、その中においてどう基準を見出すかがリーダーシップの在り方そのものといえます。








