いくら稼げば満たされるのか――収入を上げても心の渇きが増すだけ…。そんな不安はありませんか。幸福の線引きはお金ではなく、欲望と満足のバランスにあります。どうすれば、お金への欲望を止められるのでしょうか?
IVEチャン・ウォニョン氏や俳優ハ・ソクジン氏の愛読書と話題となり、韓国で262刷、60万部を超え、「哲学ブーム」の火付け役となった書籍『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに解説します。

お金は海水のようなものだ。飲めば飲むほど喉が渇く。

富は幸福の条件にならない

お金は海水のようなものだ。
飲めば飲むほど喉が渇く。

――『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』より

いくら儲けたら幸福になれるのかという線引きは、簡単には決められない。

年収や資産や住まいで絶対の基準を作ることはできず、必要な財産の量は人それぞれの欲望に応じて相対的に変わる。

金銭欲が薄い人なら、貧困でさえなければ十分に満足して生きられる。

一方で莫大な資産を持ちながら、手に入らないものを次々欲しがる人は、満ち足りず不幸だと言える。

つまり富は、各自の欲望と満足の関係で姿を変え、幸福の絶対条件にはなり得ない。

富への執着が強いほど渇きは増し、「もっと」の基準は遠のいていく。

ショーペンハウアーは、足し算で満たすより、引き算で渇きを弱めよと促す。

必要と欲望の境界を言葉にしておくと、基準は他人の収入ではなく自分の生活に戻る。

「ここまであれば十分」と自分の線を先に引けば、数字は手段に戻り、比較の刃は鈍る。

富は道具であり、道具に支配されると心の天気は不安定になる。

幸福は額面では測れず、過剰に揺さぶられない日常の手触りに宿る。

海水を飲んでも渇きは癒えないように、欲望で欲望を消すことはできない。

だからこそ、増やすよりも、渇きを生む条件を一つずつ減らすのが賢明なのだ。

(本記事は『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに作成しました)