税務署の判断に
異議を唱える3つのルート

 税務署の判断に納得できない場合には、「不服申し立て」という正式な救済制度を利用できる。国税通則法に基づく制度で、手続きは段階的に用意されている。

 ただし、注意したいのは、税務署の指摘を受けて納税者が自ら「修正申告」をしてしまうと、その内容について後から不服申し立てができなくなる点だ。修正申告は、納税者が「税務署の指摘を受け入れた」という扱いになるためだ。

 一方、納税者が修正申告を行わなかった場合は、税務署が税額を変更する「更正処分」を行う。不服申し立ては税務署による処分に対して行う手続きとなる。

 税務署の判断に対し、異議を唱えるルートは3つある。

(1)再調査の請求
 税務署長などが行った課税処分に不服があるときに、その税務署長に見直しを求める制度だ。

 申立期限は、処分を知った日の翌日から3カ月以内。申し立て後、3カ月以内に再調査を行うかどうかの決定を行うことが標準とされている(標準審理期間)。

 再調査は、申し立てから結果が出るまでの期間が比較的短く、納税者にとってはもっともハードルが低い手段だが、同じ税務署内で再検討が行われるため、判断が覆る可能性は極めて低いと考えられる。

(2)審査請求
 より中立的に検証してもらいたい場合は、国税の特別機関である国税不服審判所に対して審査請求ができる。

 国税不服審判所は、税務署や国税局から独立しており、公正な第三者的立場で調査・審理し、「裁決」を行う。

 申立期限は、処分を知った日の翌日から3カ月以内。標準審理期間は1年以内とされている。

 審査請求人は証拠書類の閲覧・写しの交付を請求できるほか、口頭意見陳述の場で処分庁(税務署)に質問することも可能である。

 再調査後の処分に不服がある場合に審査請求に進むケースと、再調査を経ずに直接「審査請求」を行うケースがある。

 近年では、再調査を省略して審査請求に進む例も見られるようだ。この背景には、同じ税務署による再調査では、結果が変わりにくいとの見方がされているのかもしれない。実際、不服申し立て全体における再調査請求の認容率が5.7%、審査請求では20.0%という統計からも、再調査が審査請求よりも通りにくいことが窺える。