「変えられるもの」に
目を向けてこれからを生きよう

 物事って、「すべての原因が1つ」ということはなかったりします。

 たとえば、診察していて「適応障害になったのは仕事が原因です」と言う人もいますが、そう簡単なものでもなかったりします。

 もちろん、仕事も原因の1つですが、いろんな要因が重なり合っていたりします。本人のとらえ方(認知)の問題であったり、まわりに頼れる人がいない、親との関係に問題があったりなど背景にいろんなことが折り重なっているんですね。

 だから、物事を「0」か「100」かの「白黒思考」で考えないというのが一番大切だったりします。

 よく「親ガチャ」なんて言い方をしますよね。

「自分が不幸なのは親のせいだ」という考え方です。

 もちろん、親の要素ってすごく大きいものですが、この先の人生においても、自分が親のせいで何もできないかというと、そうではないはずです。

 親以外で信頼できる人を見つけたり、今後、親と距離をとってみたりという方法もあるはずです。

 もちろん、原因をまったく見なくていいってことじゃないですよ。

 たとえば、親が厳しくて、小さいころから自己主張が許されず、今も他人に対して「言いたいこと」が言えないという場合もあります。そんなとき「親の影響で自分には、こんな特徴があるんだ」と知っておくことは、良好な人間関係を築くうえで必要になります。

 ただ、「親が厳しかったという過去」自体を変えることはできません。

 親を許す必要も受け入れる必要もありませんが、「変えられないもの」にとらわれてしまって、今これからの「自分の大切な時間」をムダにするのももったいないことです。

「変えられないもの」に目を向け時間を失うより、変えられるものに目を向けてこれからを生きたいじゃないですか

 だから、「自分を変えたい」と思ったら、「変えられるもの」と「変えられないもの」に分けられるといいですよね。

「変えられる」のは
「未来」と「自分」に関すること

 たとえば「自己主張できない自分を変えたい」だったら、「変えられる」ことと「変えられないこと」をリストに書いてみましょう。