ビットコインには価値の裏付けがない
現在、世界の暗号資産市場は、総じて強気から弱気に転じつつあるようだ。実はビットコインの価格上昇は、AI関連業界の成長と密接に関係していた。ビットコインには、価値の裏付けがない。価格上昇を支えるのは人々の強気な心理だ。基本的に、IT先端業界の成長期待が高まると、「分散型元帳」と呼ばれるブロックチェーンの利用が増えることへの期待が高まる。
ブロックチェーンは、ビットコインの発行と流通を自律的に管理している。IT業界の成長でブロックチェーンの利用は増え、ビットコインの価値も増える――こうした連想が働くことから、暗号資産に資金を振り向ける人は増えた。
暗号資産市場への資金流入の契機の一つは、2022年11月末のChatGPTの登場だった。これによりGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)やエヌビディアなど大手IT企業の株価は急上昇し始めた。
成長期待の高まりから、投資家は積極的にリスクを取るようになった。それに伴い、暗号資産の価格も押し上げられた。
24年11月、トランプ米大統領が再選すると、ビットコインの価格上昇ペースは勢いづいた。バイデン前政権下、米国証券取引委員会は暗号資産業界への規制を強めていた。
それが一転、トランプ氏は暗号資産の振興を重視。25年以降、米国政府は暗号資産関連の規制を緩和した。各国の資金運用会社も、ビットコインに投資する投資商品を相次いで出した。
ビットコイン、イーサリアムなどを「買うから上がる、上がるから買う」という強気な心理が連鎖した。米国の利下げへの期待も、暗号資産の急上昇につながった。
わが国では、暗号資産を運営するメタプラネットの株価が、年初から6月までの間に5倍に急騰した。8月には米Bakktホールディングスが、RIZAP(ライザップ)グループ傘下で衣料品販売の堀田丸正を傘下にし、暗号資産企業に業態転換した。この発表を受け、堀田丸正の株価は50円台から一時800円台後半に急騰した。世界的にAIやIT関連銘柄の株価が上昇し、10月上旬にかけてビットコインなどの価格も高騰した。







