ビットコイン価格が急落したワケ

 暗号資産の相場は上昇する――こうした暗号資産への過度な楽観は10月上旬、ピークを迎えた。ドル下落への備え、米国の利下げに対する楽観なども重なり、ビットコインは12万6000ドル台の最高値を更新した。

 その後、相場の流れは強気から弱気に変化した。一因は、高値での利益確定だ。堀田丸正の株価が急騰したあたりから、海外ではビットコインやイーサリアムを段階的に売りに回る投資家が増えた。

 また、世界の投資家はリスク回避の姿勢を見せ、相場下落の加速につながった。高値更新後の10月10日、トランプ大統領は中国に100%の追加関税を発表した(後に撤回)。想定外の発表に、大手投資家は株式などリスク資産の持ち高(ポジション)を減らした。

 暗号資産市場では、多くの投資家が売却を急いだ。中にはパニックに陥った投資家もいたようだ。10日だけで190億ドル超(約3兆円)ものレバレッジ解消の売りが発生した。同日、ビットコインは一時14%、イーサリアムは12%、HYPEは54%、DOGEは62%、AVAXは70%と急落した。

 その後も暗号資産の売り圧力は増大した。米国では、追加利下げの観測が後退した。その結果、期待先行で買い上げられたAI関連銘柄の売り圧力が増えた。夏ごろから、「ミーム株」を手放す投資家も増えた。

 10月上旬まで世界の投資家は、AIが世界経済の成長を加速すると信じ込み、積極的にリスクを取った。ところがその後、高値への警戒感や米国の政策リスクへの懸念もあって、売りが売りを呼び急速にリスク回避に動いた。

 11月18日、ビットコインを投資対象とした上場投資信託(ETF)のiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)から、約5億2300万ドル(約820億円)が流出した。振り子が右から左に振れるような投資家心理の変化に影響され、暗号資産の価格は下落したのである。