パールズやバルジライをはじめとする研究者によれば、センテナリアンは全般的な健康状態がかなり良い。これもまた、ほとんどの人は期待できない。だからと言って、センテナリアンがゴルフをするとか、飛行機からパラシュート降下するわけではない。

 それでもパールズの研究の被験者になった95歳の高齢者は、認知機能の評価で優秀な成績を上げた。そして、日常生活の動作も難なくこなす。食事を作ったり、足の指の爪を切ったりするのは簡単な作業に思えるが、年を取ると非常に困難になるものだ。

 ひとつ興味深いことがある。センテナリアンは男性よりも女性のほうが多く、女性の数は男性の少なくとも4倍にのぼるが、認知テストと機能テストのどちらでも、概して男性のほうが高得点を挙げる。

 これは一見、矛盾しているように感じられるかもしれない。女性のほうが平均寿命は確実に長い。

 しかしパールズは、ここでは一種の選別プロセスが働いていると確信している。男性は中年になると心臓発作や脳卒中を起こしやすくなるが、女性はその時期が10年から20年遅れるので、こうした病気で早いうちに死なず、生きながらえるケースが多い。

 要するに、体の弱い人は男性の集団から排除されてしまう。その結果、かなり壮健な男性だけが100歳まで生き残る。一方で女性は、加齢に伴う病気や障害を抱えたまま長生きする傾向が強い。パールズはこれを「諸刃の剣」と呼んでいる。

センテナリアンは
若いまま生きている?

 長生きできるのはプラスでも、健康状態の悪化はマイナスになる(具体的に計測したわけではないが、平均すると男性のほうが、筋肉量が多いことは何らかの関係があると私は直感している。筋肉量は、長寿や体の機能の良好さとの関連性が高い)。

 ただし、110歳であまり体調が良くなくても、他の人たちに比べれば、健康だった時期がずっと長いのは事実だ。寿命も健康寿命も、どちらも驚くほど長い。そしてパールズのグループは、さらに驚くべき事実を発見した。