さらに調査対象になったセンテナリアンの男性は、70歳で定期的に運動している可能性がその年代の対照群に比べて低く、太りすぎの人も多かった。これは健康なライフスタイルとは言えない。

 なぜ一部の人たちは、80歳の大台を軽々超えることができるのだろう。ほとんどの人たちにとって80歳は、むしろゴールである。並外れた長寿――そして並外れた健康寿命――は、主に遺伝子のおかげなのだろうか。

長生きするかどうかは
遺伝子によるところが大きい

 スカンジナビアでの双子の研究からは、人間の寿命の全体的な多様性のなかで、遺伝子の影響は20~30パーセントにすぎない可能性が明らかになった。

 だがここでは、年を取るほど遺伝子は重要になるという点に注目してほしい。センテナリアンにとって、遺伝子は大いに重要だと考えられる。センテナリアンの姉妹がいれば、あなたがその年齢まで生きられる可能性は8倍に増える。そしてセンテナリアンの兄弟がいれば、100歳の誕生日を迎えられる可能性は17倍に増える。

 これは、ニューイングランド・センテナリアン研究に参加した1000人の被験者から集めたデータによるもので、きわめて長生きした人たちを1995年から追跡調査した(ただし被験者は同じ家族のなかで成長し、おそらくライフスタイルや習慣を共有している。したがって、この結果には環境的な要因も反映されている可能性がある)。

 残念ながらセンテナリアンの兄弟姉妹がいなくても、両親が長生きならば期待は持てる。

 そんなわけで私は、患者の家族歴を詳しく知ることを非常に重視する。親戚がいつ、どんな理由で死んだのか知る必要がある。

 たとえば、あなたにとっては何が「大きな障害」だろうか。もしもあなたの家系にセンテナリアンがいたら、おめでとうと言いたい。こうした遺伝子を受け継いだのは幸運でしかない。

 しかし私の家族ならば、リタイアする年齢まで生きられたら上出来だろう。私や本稿を読んでいるほとんどの人とあなたが同じならば、遺伝子のおかげでうんと長生きできる可能性は低い。