衝突しても安全上の問題から運転士が列車から降りることができず、指令を介して自治体に連絡し、地元の猟友会などハンターが現場に到着するまで待機しなければならない。
また、夜間は発砲が禁じられているため、クマを線路上などから動かす作業が翌朝からとなるなど、輸送障害が長時間化する傾向にあるという。
11月20日の定例会見で犬飼社長は「シカについては、シカが嫌がる臭いや忌避音などの対策で一定の効果がでているが、クマについては現時点で有効な対策が見当たらない」と述べており、今後、線路を保有するJR旅客各社とともに、クマ対策の検討が本格化していきそうだ。
10月のコンテナは前年比2.5%増
JR貨物の10月の輸送動向は、コンテナが前年同月比2.5%増の181万4000トン、車扱が2.5%増の71万1000トンとなり、合計でも2.5%増の252万5000トンと前年を上回った。
コンテナの品目別では、リニア中央新幹線建設工事に伴う発生土の運搬によりエコ関連物資が引き続き増送となったほか、自動車部品も一部顧客の増送により2桁増となった。積合せ貨物も、ドライバー不足を見越した鉄道シフトが続き前年を上回った。
一方、食料工業品は、一部顧客における出荷停滞の影響が大きく前年比2万7000トンの減送となり、前年比9.8%減と低調だった。
車扱は、全国的に気温が低かったことにより灯油を中心とした石油が増送となり、全体でもプラスとなった。
今期累計(4~10月)実績は、コンテナが前年同期比6.7%増の1125万3000トン、車扱が2.5%減の435万9000トンとなり、合計では3.9%増の1561万2000トンとプラスで推移している。
景気動向がマイナス基調だが...
会見で犬飼社長は、足元の荷動きについて「11月17日までの実績で、コンテナが0.1%増にとどまるなど荷動きに力強さが感じられない。食料工業品で一部顧客の出荷停滞が11月も続いていることがマイナス要因となっている。
ただ、鉄道モーダルシフトの切り札ともなる31ftコンテナの活用が今後具体化してくるほか、積合せ貨物も将来的なドライバー不足を見込み、九州方面など様々な区間での利用が進んでいる」と説明。
執行役員営業部長の麦谷泰秀氏は「ここにきて景気動向がマイナス基調だが、輸送量の多い素材系産業を中心に情報をしっかり取りながら、輸送量を確保していきたい」と述べた。
犬飼新社長(右)と執行役員営業部長の麦谷泰秀氏








