新刊『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回の記事では、小中学生の親御さんだからこそ知っておいてほしい大学入試の未来について、孫氏と『1%の努力』著者のひろゆき氏の特別対談をお送りします。(構成/ダイヤモンド社・森遥香)

入試 子育てひろゆき氏(撮影:榊智朗)

ペーパーテストでは測れない力と大学の仕組み

孫辰洋氏(以下、孫氏):推薦入試で大学に入る生徒の割合が50%を超えました。今の日本の大学入試のシステムって、学部に本当に必要な子を適切に選べてると思いますか?

ひろゆき氏:どうだろう。なんかこだわりがある人の方が、結局成果を出す確率は高い気はしますけどね。例えば「三度の飯より地図が好き」っていう人って、自分で知識を得ようとする習慣を持っている。そのマニアックな、他の人があんまり興味がないところに興味を持って伸ばしていけるっていうのは、ある種の才能ですよね。そういう才能を測りやすくなるんじゃないですかね。

孫氏自分の興味を追求する人を取ろうとすると、どうしてもペーパーテストでは測れなくなってしまいますよね。

ひろゆき氏:そうですね。日本の大学の多くは、受験勉強を通じて努力ができるようになった学生が、入学後に勉強しなくても卒業できるように作られています。努力ができるという証明さえあれば、基本誰を入れてもそんな変わらんよね。むしろ、努力ができなくて脱落しちゃう人をいかに切るか。フランスやアメリカのように、単位取得が難しくて、一定の成績が取れない者を退学させるシステムにすれば、卒業時点で能力が担保されます。日本もそうしないと、日本の大学は国際的に評価が低いままになってしまうんじゃないかなと思います。

AIの発展で入試制度はどう変わるべきか?

孫氏:AIが発展していくのに、日本の入試制度は今後どう変わるべきなんでしょうか?韓国の大学入試は推薦入試が今82%にまでなってきています。大学側が建前では「AI時代でも生きる人間を推薦で取りたい」と言っているんですけど。

ひろゆき氏:AIが発達していくと、そもそもその人の能力の差ってほとんどなくなっちゃうんですよね。新しいことを覚えてそれをやるとかであれば、もうAIにやらせちゃった方が早い。

そうなると、例えば就職の面接の場合は、個人の能力(スキルや知識)よりも、「どんなやつと一緒に仕事したいか」ということの方が大事になってくる。能力より、コミュニケーション能力の高いやつと仕事した方がいいよね、ということです。

孫氏:なるほど。

ひろゆき氏面接で人間を見抜くことは不可能である、というのが僕の結論ですが、顔の良さぐらいは見抜けるから。なんとなく良さそうな人、気持ちのいいやつを取っていくっていう選考ファネル(選抜方法)は、AIが発展すると機能はすると思います。Googleが前にやってたのが、最終的にチームみんなに面接させて「一緒に働きたいやつ誰?」と選ばせる手法でした。

孫氏:ひろゆきさんが提言されている、能力ではなく人間性を重視する選抜方法でいくと、推薦入試の方が、そういう学生を取るのには向いているなと思っています。

ひろゆき氏:推薦入試のように多様な要素で選抜するのであれば、外国経験強いよねとか。多様な経験がある人を取った方がいいよね。だって、AIが発達すると人間の能力はそんなに変わらないもんっていう。ただし、結局、その多様な経験をするためには親が金を持っていないとできない。だから、お金を持ってる人が受かりやすいっていうのは、ペーパーテストにしろ推薦にしろ一緒で、その構造は変わらないと思います。

孫氏:たしかにお金は大切ですが、僕は逆に子どもの偏差値がお金でどうにかなると考えるのは甘いと思っています。多様な経験をするためには、子どもが前にすすむきっかけをくれる親の姿勢が大きいのではないでしょうか。

――ひろゆきさん、孫さん、ありがとうございました。

(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)