新刊『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回の記事では、孫氏と『1%の努力』著者のひろゆき氏の対談から、「本当に頭のいい子」とはどういう子か、そして子どもの才能を伸ばす親と潰す親の違いを掘り下げていきます。(構成/ダイヤモンド社・森遥香)
ひろゆき氏(撮影:榊智朗)
「頭がいい」の意味は2種類ある
孫辰洋氏(以下、孫氏): 今回、『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』という本を書かせていただきました。世間でいう「勉強だけじゃない、大学の入りかたや人生の過ごしかたをした生徒たち」にフューチャーして出したんですけど、ひろゆきさんが考える本当に頭のいい子ってどんな人なんでしょう?今の時代、12歳から「頭のいい子にしたい」という親御さんがめちゃくちゃ多くて、どのような子が「頭のいい子」として定義されているのか、お伺いしたいです。
ひろゆき氏: 役に立つ話と役に立たない話、どっちがいいですかね?
孫氏: どっちもください。
ひろゆき氏: 役に立たない話でいくと、「めちゃくちゃ頭がいい」っていうタイプ、どちらかというと芸術家タイプがいるんですよね。例えば、インドの数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャンは、大量に公式を作ったんですけど、数学の授業を受けていなかったので、証明の仕方がよくわからなかったとか。
大谷翔平さんもそうなんですけど、「すげえ優秀だよね、どうなってんのこの人」みたいなタイプは、再現性がないんですよね。一般の人と全然違う才能ありきのやり方なので、真似されることなく成果を出すんです。
ひろゆき氏: で、役に立つ話の方でいくと、他の人が出せない成果を出す人。この「他の人」っていうのが一般的な人っていう意味なんですよね。
孫氏: はい。
ひろゆき氏: なので、うまくやってる人のやり方をパクる。不必要な工程を省く。合理的に行動することによって成果を出すとか。コネクションを持ってるので、普通の人だと到達できないところで、割と断を決めてくる。っていうタイプの、凡人の持ってないやり方で凡人よりも良い成果を上げる人。役に立つ頭の良さはそっち側ですね。
子どもの才能を親が潰してしまっていることも
孫氏: なるほど。今回は役に立たない方の話を聞きたいんですけど、再現性のない天才(ギフテッド)を、親が潰しちゃってるケースってあったりすると思いますか?
ひろゆき氏: 日本はかなり多いんじゃないですかね。ギフテッドと呼ばれる異常に頭のいい人に対応した教育っていうのが日本にはないので。「IQ150」ですみたいな人だと、才能が生かされずに潰されるから、精神的な病気になって社会的に成功を収めない、というのが日本のありがちなパターンです。
孫氏: なるほど。ギフテッド教育が日本でも始まろうとしているんですけど…
ひろゆき氏: 教育で習得できるものはギフテッドじゃないです。ギフテッドは英語の意味で行くと「神が与えるもの」なので。人が努力してなれるものはギフテッドではない。
子どもの才能を伸ばすために
孫氏: 親として、この子は「再現性のない天才である」という判断基準はどこに持つべきですか?
ひろゆき氏: そこは脳の構造の問題になってくるので、断言はできないですね。ある種の特性を持つ子が、他の人と行動が違うんだけど、社会に役に立つ一部の能力に異常な才能を発揮するというだけで。
なので、幼少期から「この子変わってるよね」「友達ができない」みたいな子だとしたら、ひょっとしたら日本にいさせると才能を生かせずに「変わってる人」という偏見を持たれてしまって不幸になってしまうかもしれないのですよね。いっそのこと、きちんと調べて、他の国に行かせるっていうのは全然ありなんじゃないかなと思います。
孫氏: 他の国で生活させてみるのはいいですね。ただ、家庭の事情で海外に行けないギフテッドの子どももいると思うんですよね。そうした環境を子どもに与えられない場合はどうしたらいいと思いますか?
ひろゆき氏: 環境が与えられないというのは、与えられないと思い込んでいるっていうだけだと思うんですよね。根性とやる気さえあれば、海外に行かせるのはできると思っていて、親がそれを「やれない」と思い込んでいるだけじゃないかなと思うんです。
――子どもの「頭のよさ」を伸ばせるかは、親や社会がどれだけその個性をつぶさない環境をつくれるかで決まる...そんな本質が浮き彫りになった対談でした。ひろゆきさん、孫さん、ありがとうございました。
(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)




