Xイヤーは2027年か
日本が進むべき5つの道

 起きてほしくない「台湾有事」が生じるとすれば、中国軍創設100年という節目にあたり、習近平の共産党総書記としての4選がかかる党大会がある2027年が想定される。

 それまでに日本が進むべき道を、筆者なりにまとめると以下のようになる。

(1)米中の関係は分岐点にある。知らないところでトランプと習近平が接近しないよう、高市首相とトランプの個人的な関係をさらに強固にする。

(2)イギリス、フランス、ドイツ、イタリア各国との連携を強化し、「アジア版NATO」に近い枠組みを構築し、インドや豪州とも連携を密にして、トランプ在任中は中国が動けない形を作る。

(3)高市首相はこれ以上中国を刺激せず、台湾に関しては、アメリカ同様、表向きは曖昧政策を貫き、必要な防衛費は計上して、サイバー、宇宙といった新領域の戦争に備える。

(4)さまざまなケースを想定してシミュレーションを繰り返すほか、南西諸島の住民避難や台湾からの被災民流入に備え、防空シェルターの建設を急ぐ。

(5)安定した政権基盤を作る。衆議院は日本維新の会除名組3人の自民会派入りで過半数に達したが、参議院は自民+維新だけでは届かない。安全保障で考え方が近い国民民主党との連立も視野に、勝てるタイミングで衆議院解散・総選挙に踏み切る。

 当然ながら、安全保障に関するコストは増大する。しかし、中国に近いという地政学的リスクを抱える日本としては致し方ない。

 こうした中、日本、アメリカ、それにドイツや韓国などで政治のトップリーダーが代わった2025年は終わる。

 来たる2026年は、冬季五輪やWBC(ワールドベースボールクラシック)、サッカーW杯などスポーツで競う大会が続く年になるが、それ以上に、安全保障で各国が競い、駆け引きと取り引きを活発化させる1年になりそうだ。

(政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授 清水克彦)