建設現場での電気設備技師や配管工の仕事では、高度な専門知識と現場の技術をともに生かすことができます。一方、アマゾンの配達の仕事では思考する部分の大半がスマートグラスやロボタクシーに奪われてしまいそうです。配達員の仕事で高給を得るのは難しいでしょうし、人型ロボットが実用化されれば配達そのものの仕事が消滅する可能性すらあります。
もうひとつはハイテク大手で起きているAIエンジニアのリストラです。アマゾンのリストラ発表と同じ時期に、メタはAI技術者600人の削減を発表しました。メタではAI開発に巨額の投資が行われているにもかかわらずの、エンジニアの人員削減です。
実は最新の生成AIにとっては、プログラミングの仕事が一番得意になったといわれています。結果としてハイテク大手では、人に投資をするよりもデータセンターの計算能力に投資をしたほうが早く投資回収ができるように競争の前提が変化してしまいました。
2017年当時の予測で「ホワイトカラーの中で最後に生き残るのはAIを開発する仕事だ」と言われていた前提は、2025年には大きく違ってしまったのです。
【視点2】
2026年の生成AIの進化
雇用にまつわる状況を技術の側面から俯瞰するために、現在起きている人工知能の進化について考えてみたいと思います。2025年にAIはふたつの大きな進化を遂げました。
ひとつは言語能力の進化です。2017年当時の前提では、二進法の半導体の上で進化するAIには言語を理解する能力は獲得できないとされていました。
有名なのがAIに東大受験を挑戦させる「東ロボくん」プロジェクトの結果です。当時の研究者が頑張って挑戦したところ、数学や物理学といった理系科目や、世界史や経済といった人文科目ではAIは高い偏差値に到達できました。しかしいくら頑張っても偏差値が50近辺から上にいかない科目がふたつありました。それは国語と英語です。







