Photo:Studio Paggy/gettyimages
マツダは12月1日、希望退職者の募集を打ち切った。当初は想定した500人を超えても受け入れるとしていたが、急きょ、定員ちょうどで打ち切ると方針転換し、残る90人の枠を巡り「椅子取りゲーム」が繰り広げられた。特集『黒字リストラの恐怖!部長&課長を襲う希望退職と役職定年の絶望 出世・給料の残酷』の本稿では、早期退職を希望するベテラン社員が殺到し、1分足らずで受け付け終了となったマツダの「決戦の日」の模様とともに、シニアの人生プランを左右する希望退職の重大な“運用変更”についてのマツダ側の見解も明らかにする。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)
申請フォームのクリック競争に敗れれば
数千万円の割増退職金がパーに
マツダは12月1日、希望退職者の募集を打ち切ったと明らかにした。同社は「上限の500人に到達したため」とコメントしているが、それだけでは説明が足りていない。
実は、想定していた500人を超える応募があった場合でも、申請を受け入れるとしていた当初の方針を一転させ、定員に達した時点で打ち切ることにしたのだ。そのため、12月1日の2回目の募集では残っていた90人の枠を巡って、インターネット上の申請フォームで先着順を争う「クリック競争」が行われる事態となった。
マツダの希望退職制度における割増退職金の額などについては『【独自】マツダが希望退職募集で「後出し」人数制限!シニアが殺到した割増退職金の額とは?12月1日朝に“応募入力競争”も』で詳報している。記事では、大幅な割増退職金を積んででも退職してほしいとみられる特定の世代が存在することや、リストラに迫られている経営課題の存在についても明らかにしている。
マツダ関係者によると、12月1日の募集は午前8時に始まり、1分もたたないうちに90人の枠が埋まったという。極めて短い時間で受け付けが終了していることと、事前に開かれた2回目の募集の対象者向けの説明会に400~500人が参加していることから、応募しようとしていたにもかかわらず、クリック競争に敗れ、受理されなかった社員が少なからずいることがうかがえる。
次ページでは、最大で4000万円にも上るとみられる割増退職金を巡る「クリック競争」の全容をお伝えする。さらに、定員での募集打ち切りは「後出しジャンケン」ではないかとの批判について、ダイヤモンド編集部は再度マツダ側に見解を聞いた。同社の広報担当者とのやりとりを明らかにする。







