「残業キャンセル」は、変化のサイン
残業キャンセルという言葉に、「最近の若者は……」と眉をひそめる人もいるでしょう。折しも高市早苗首相が、「働いて×5参ります」「ワークライフバランスを捨てます」などと発言し、流行語大賞まで受賞しました。
しかし現実問題として企業は、残業キャンセルの風潮をワガママと切り捨てるのではなく、職場の在り方を見直すサインとして受け止めるべきです。
実際、ワガママで残業がしたくないという若手ばかりではありません。限られた時間で最大限の成果を出すこと、自分自身の成長に価値を置いているのであって、決して仕事自体を軽視しているのではありません。
残業キャンセル現象を、責任回避として捉えるのではなく、生産性を上げるチャンスと捉えましょう。会社は社員と一体となって業務改善に取り組むことが大切です。
「効率的に働き成果を出す」文化が定着すれば、優秀な人材の採用や定着にもつながります。人手不足に悩む企業が多い中、競争力そのものが強化されます。つまり、残業を減らすことは、単なる時短の取り組みではありません。
社員ひとりひとりがプロ意識をもち、主体的に働き、企業が持続可能な発展をするための「働き方改革」だということを、忘れないようにしましょう。
残業キャンセルは、ワガママではない一方で、社員の自由でも権利でもありません。新たな価値観へ変化する過程で生じるギャップであり、社員と企業が共に乗り越える課題と考えるべきでしょう。
世代や立場を超え、気兼ねなく「お疲れ様でした」と退社し、翌朝は笑顔で「おはようございます」と言える職場こそ、次世代に求められる職場なのです。








