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個人的な予定を理由に、「残業を拒否」できるのでしょうか? 新婚夫婦のエピソードを通じて、残業の法的ルールや例外について解説します。(大槻経営労務管理事務所特定社会保険労務士 山本倫央)
話題の「残業キャンセル界隈」とは?
「今日、残業キャンセルします!」
SNSでこんな投稿を見かけたことはありませんか?自分の時間を大切にし、無理をしてまで働きたくない!という価値観を共有する人たちを、「残業キャンセル界隈」と呼ぶようです。
では実際、社員は残業を拒否する自由があるのでしょうか?
【残業クエスチョン】
システムエンジニアとして働くAさんは、久しぶりに妻とゆっくりデートする予定を立てていました。互いに仕事が忙しく平日はすれ違いが続き、休日は溜まった家事を片付けるか、ぐったりと寝だめするかで外出が億劫になりがち……。
とはいえ世はクリスマスシーズン、何よりAさん夫婦は新婚です。金曜日に「たまには定時で上がり、美味しいものを食べて映画も観よう」と夫婦で意気投合。Aさんは数日前から仕事を調整し、当日は午後のタスクを前倒しで片づけ、準備万端でした。
ところが、その“完璧なプラン”は退社直前にあっけなく崩れます。パソコンをシャットダウンしようとした瞬間、上司から呼び止められ、「X社でシステム障害が発生した。至急現場に行って復旧対応を頼む」と指示されたのです。
Aさんの胸は一気にざわつきます。普段ならトラブルシュートに向かいますが、「今日だけは」どうしても避けたい。妻も仕事の調整をして、準備万端で今日を迎えているはずです。
とはいえ、「妻とデートなので帰ります」とは、とても言い出せない。X社とは長年付き合いがあり、現場は大混乱しているもよう……。
Aさんは急な残業を、一体どうやって断ればいいのでしょうか?







