32歳で迎えた
人生の到達点

 その後も私は必死に働いて、目標にしていた15トントラックを購入。免許も大型免許が必要で運転技術も高度化する15トントラックはトラック運転手の憧れと言ってもいいでしょう。それは、32歳のときでした。独立も果たし、個人事業主、いわば一国一城の主として働くまでになったのです。

 知り合いの伝手をたどって、私が買った15トントラックは2000万円ぐらい。破格の安さです。本当は、この価格で買えるような15トントラックはなかなかありません。これまでの何倍も荷物を積めることもあり、この大型トラックでバリバリ稼ぐのが私の夢でした。でも叶ってしまったのです。

「これで、私の人生は完成かな」

 そう思っていました。

 夢にまで見た大型トラック。

 立派な収入。

 目標を達成した充実感。

 仕事は忙しすぎるぐらいで結構稼いでいました。

 このまま、ずっとトラックに乗り続けるのだろうか。これ以上の目標はないのだろうか。他のドライバーたちには仕事以外の趣味がありました。釣り、競馬、クラブ、パチンコ……。でも私には、仕事しかありませんでした。35歳を迎えるころ、なんだか虚しさを感じ始めます。

「何か、始めてみようかな」

 そんな漠然とした思いを抱え、ある日いつものように本屋に立ち寄りました。

 立ち寄ったのは、近所の古本屋。100円コーナーを何気なく眺めていたときでした。

『中学3年分の英語がいっぺんにおさらいできる本』

 パラパラとページをめくってみると、なんだかやさしそう。「100円なら、失敗しても惜しくない」。そう思って手に取り購入した1冊の本が、人生を大きく変えることになるとは、私はそのとき想像もしていませんでした。

 でも、実際に読み始めてみると内容がまったく理解できない。

「これ、本当に中学英語?」

「こんなの習った?」

 そんな疑問を抱きながらも、なんとか読み進めていきました。そして本の最後に1枚のチラシを見つけます。

『外国人講師との無料オンライン英会話』

「顔を合わせれば意思疎通なんて、なんとかなるでしょ」

 その軽い気持ちが、私の最初のつまずきとなりました。

 いつものように思い立ったらすぐ行動。オンライン英会話に速攻で申し込みました。

 そして迎えた初のオンライン英会話。