実際、加熱式タバコのエアロゾル中には紙巻きタバコ煙より高濃度の毒性物質が含まれている場合があり、安全性が担保されていないことは明らかだ。
日本では加熱式タバコの税率が紙巻きタバコより低く設定されているが、これは不合理だ。2026年度に税率を一本化する方向で検討が進められているようだが、遅すぎるくらいだろう。
ペナルティを課すだけでは
喫煙者は減らせない
海外では医療保険や生命保険における喫煙者への保険料上乗せ制度が導入されている。アメリカでは喫煙者に最大50%の割増しを認めたが、結果は芳しくなかった。喫煙者の保険加入率が低下し、禁煙率に有意な改善は見られなかったのだ。
この失敗から学ぶべきことは、ペナルティよりリワード型の設計が重要だということだ。日本の一部の健康保険組合では、禁煙外来の自己負担費用を最大1万5000円まで支給したり、禁煙治療を完了した場合に自己負担分を全額補塡するインセンティブを提供している。
これらは「やめたら得をする」というメッセージを与える好例であり、実際に禁煙率向上や医療費適正化に寄与している。
政策を成功させるには、国民の支持と協力が欠かせない。FDAの「The Real Cost」キャンペーンは、歯が黒くなる、肌の老化を早めるといった若者の関心に刺さる内容をCMに盛り込み、開始から2年で対象青少年の喫煙開始率を30%減少させる成果を上げた。
日本でも同様のアプローチが有効だろう。ただ怖がらせるだけでなく、美容や経済面のメリットを強調するメッセージが効果的だ。「タバコをやめれば年間○万円節約」「肌や歯が綺麗になる」といった具体的なメリットを強調すべきだ。
私が考える理想的な政策パッケージは以下の通りだ。
まず、段階的な大幅増税により、2035年までにタバコ1箱の価格を現在の3倍以上にする。これにより確実に需要は減少し、税収は増加する。
次に、その税収を禁煙外来の完全無料化と、禁煙成功者への報奨金制度に充てる。同時に、企業の健康保険組合と連携し、禁煙プログラムへの参加インセンティブを強化する。







