早期発見の5年生存率は9割を超える大腸がん。それなのに、本当は助かるはずの大腸がんで年間5万人が亡くなっているという現実がある。なぜ、人々は検診を受けないのか。祖父を大腸がんで亡くしたホリエモンが警鐘を鳴らす。本稿は、堀江貴文『金を使うならでカラダに使え。老化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え方』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。
大腸がんはとにかく
“検診を受けること”が大切
大腸がんに対して、僕は言いたいことがたくさんある。
まず現状を見てみよう。国立がん研究センターがん情報サービスのデータによると、2021年における日本の部位別のがん死亡数で、大腸がんは男性では肺がんに次いで2位、女性は1位となっている。2021年の統計では、年間5万2000人を超える方が命を落としている疾患だが、早期発見でステージ1の場合の5年生存率は90%を超える“助かるがん”でもある。
なぜ助かる確率の高い大腸がんで、いまだ年間5万人も命を落としているのか。この問題を解決したくて、内視鏡診断・治療を専門とし、大腸がん検診の普及に努める東邦大学の松田尚久教授に現状を聞いた。
がんは進行度合いによって5段階に分けられる。大腸がんの場合、「ステージ1の5年生存率は90%を超える」ということはすでに伝えたが、進行の状態と生存率について、松田教授が教えてくれた。
ステージ0 がんが大腸粘膜内に留まっている。約94%
ステージ1 がんが筋層に留まっている。約92%
ステージ2 がんが筋層を超えて浸潤している。約85%
ステージ3 がんのリンパ節への転移がある。約77~60%
ステージ4 がんの他の臓器への転移がある。約18%
「大腸がんの場合、粘膜及び粘膜下層に留まるものが早期がん、筋層以深に浸潤したものが進行がんと分類されます。『リンパ節』とは、全身の組織から集まるリンパ液が流れるリンパ管の途中にある、免疫器官の関所と言われる場所。ここにがんが転移すると、がん細胞がリンパ管を通じて他の臓器にも転移します」(松田教授)
松田教授に大腸がんの検診受診率を尋ねたところ「国の目標は50%ですが、国民健康保険被保険者の受診率は14%(2015年 地域保健・健康増進事業報告)に留まります」という、信じられないほどの低さであった。さらに驚くことに、大腸がん検診である便潜血検査で陽性となるのは受診者の約6%だが、そのうちの3割程度が精密検査を放置している実情があるという。