結果として「健康面では喫煙減少、経済面では税収増」という一石二鳥の効果が生まれるのだ。

 海外を見れば、もっと積極的な価格政策を取っている国は多い。オーストラリアでは1箱3000円を超える価格設定により、喫煙率を大幅に下げることに成功している。

 日本はまだまだ甘いと言わざるを得ない。

低所得者に禁煙を促す
もっとも効果的な方法

 ただし、タバコ増税には逆進性の問題がある。日本では収入が低い層ほど喫煙率が高い傾向があり、結果として低所得者層が高所得者層以上にタバコ税を負担しているのだ。

 この問題の解決策は明確だ。増税による追加税収を、禁煙治療費の助成や禁煙支援サービスの拡充に充てればいい。研究によれば、タバコ値上げにより低所得者の方が高所得者より禁煙に踏み切りやすくなる傾向があることもわかっている。

 つまり、適切な支援策と組み合わせれば、最大の利益を得るのは低所得者層なのだ。これは健康格差の是正にもつながる、極めて合理的な政策だろう。

 禁煙外来の治療成功率は約34.5%。決して低くない数字だ。さらに企業と連携した取り組みでは、金銭インセンティブを組み合わせることで75%もの高い禁煙成功率を記録した例もある。

 費用対効果の観点から見ても、禁煙治療支援は極めて優秀だ。喫煙に起因する医療費や生産性損失などの社会的コストは、2015年度の推計で医療費等で2兆500億円、広く社会全体の損失では最大7兆円に及ぶ。

 これに比べれば、禁煙支援にかかる費用はごく僅かだ。アメリカ食品医薬品局(FDA)の若年向け禁煙啓発キャンペーン「The Real Cost」では、投資1ドルあたり180ドルもの医療費・社会費用を節約できたという分析もある。

 これほど明確な投資対効果を示す政策は他にないのではないか。

 最近普及している電子タバコや加熱式タバコについても、明確な方針が必要だ。WHO(世界保健機関)は「加熱式タバコは有害物質への曝露を減らしても無害にはならず、健康リスクの低減に繫がるという証拠もない」と明言している。