新刊『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、本書からテストの点で一喜一憂する親が見落としていることについて解説します。

塾 親 子育て 中学生Photo: Adobe Stock

塾代が水の泡になってしまうことも

非認知能力の具体的な伸ばしかたについてお話ししていきたいのですが、先に「こういうのはダメ」というものをお伝えします。

認知能力を測るテストで親が一喜一憂してしまうのは、絶対にダメです

どういうことなのか、実際の家庭における場面を引き合いに出して説明します。たとえば子どもが学校のテストで悪い点数を取ってきたとき、多くの親は反射的にこう言ってしまうのではないでしょうか。

「なんでこんな点数なの!?」
「ちゃんと勉強してたの?」

これは、多くの家庭で繰り返されているごく普通のやりとりです。しかしこの反応が、子どもの学びにおける非認知能力の発達を止めてしまっていることに、親自身が気づいていないことが多いのです。

子どもの非認知能力を豊かに育てられる家庭では、点数に一喜一憂するのではなく、「どうしてこの点数だったと思う?」「何か準備で工夫できたことはあったかな?」「次に活かせそうなことはある?」といった問いかけが自然と出てきます。これは、まさに子どもの内省を習慣化させる対話です。

一方で、いい点数を取ってきたときにも注意が必要です。「すごい! 90点取れたね!」と結果だけを褒めて終わっていませんか?

本来褒めるべきは、「計画的に勉強を進められたこと」「毎日20分間だけでも机に向かう習慣を続けられたこと」「自分から先生に質問できたこと」など、努力の中身=プロセスです。

点数という「表面」だけを評価していると、子どもはやがて、いい点を取るために小手先でやり過ごすようになります。結果として、努力の積み重ねができず、思考力や主体性が育ちません。反対に、努力の質を見て評価される子は、自ら工夫し、継続する力を身につけていきます。スキルよりも先に、マインドの面を重視するべきなのです。

(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』の抜粋記事です)