学者・研究者として
活躍する卒業生たち

 学者・研究者を見てみよう。

 文系では、国文学者で平家物語を研究した鈴木孝庸、経済史学者で一橋大教授、国立社会保障研究所所長を歴任した馬場啓之助、会計学者でやはり一橋大教授だった森田哲也、地理学者の田辺裕、政治学者の安藤次男、文化人類学者の斗鬼(とき)正一、国文学者の山本陽史と伊東玉美、医療経済学の印南一路らが卒業している。

 理系では、理論物理学者で東大教授の福嶋健二がいる。原子核理論の研究で世界的に評価されており、2012年に西宮湯川記念賞を受賞した。

 深谷賢治は数学者で、元京都大教授だ。日本学士院賞、藤原賞など10近い学会賞を受賞している。

 山中直明は,超高速ネットワーク技術開発が専門の慶応大教授だ。

 地球物理学者の坂野井和代は、1997年から99年にかけて南極観測越冬隊に参加した。日本人女性としては初めての南極越冬だった。

 実験発生学の水野丈夫、海洋地質学、地震学者の木村政昭もいる。

 医学者では、内科医で1970年に文化勲章を受章した冲中重雄が、旧制3期卒だ。東大教授で神経内科を確立、1963年の東大退官時の最終講義で教授在任中の自身の誤診率を14.2%と発表した。患者はその高さに驚いたが、医師連中はその低さに感嘆した。虎の門病院院長も務めた。

 新浪博士は心臓血管外科医で、東京女子医大病院副院長を務めた。群馬大医学部卒後に東京女子医大大学院に進学した。後述する新浪剛史の弟だ。

 2020年2月、横浜に入港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は乗員・乗客3711人のうち2割弱が新型コロナウイルスに感染した。クルーズ船に乗り込んで対応に当たったのがDMAT=災害派遣医療チームだ。その神奈川DMATの調整官だった医師の阿南英明は、四苦八苦した。現在は、地方独立行政法人の神奈川県立病院機構理事長だ。