日本のテレビ放送史を代表する
俳優・作家の黒柳徹子
東京都の南部・品川区にある中高一貫6年制の私立女子校だ。明治以来130余年の歴史を誇る伝統校で、キリスト教を背景としている。個性と才能が際立っている卒業生が、たくさん巣立っている。
最も著名なOGは、日本のテレビ放送史を代表するタレント、俳優、作家である黒柳徹子(1933年8月生まれ)だ。
黒柳は香蘭から東洋音楽学校(現東京音楽大)声楽科に進んだ。53年、テレビ放送開始の直前にテレビ女優第1号の一人としてNHK放送劇団の一員となった。『徹子の部屋』(テレビ朝日系列)、『NHK紅白歌合戦』など司会者、タレント・女優としてNHK・民放を問わず途切れることなく活躍してきた。
『徹子の部屋』は、76年2月2日から放送を開始した長寿トーク番組で、同一司会者による最多放送回数についてギネス世界記録に認定されている。
一方、文才も優れ、多くの著作がある。黒柳が通った小学校私立トモエ学園(当時東京・自由が丘にあり)での日々をつづった自伝的作品『窓ぎわのトットちゃん』(81年、講談社)は、日本国内での累計発行部数が800万部を超えるベストセラーとなった。
84年からはユニセフ(国連児童基金)親善大使になり、アジア・アフリカ・バルカン諸国など途上国や紛争地域を訪れ、子どもたちと交流している。
黒柳は2022年度、日本芸術院の新会員にもなった。21年度から新しく対象になった「映画」の分野で、選考された。15年には文化功労者にも選定されている。
ツーリストライター、リポーター、プロデューサーとして昭和時代に活躍した兼高かおるは、香蘭で黒柳の数年、先輩だった。『兼高かおる世界の旅』(TBS系列)は59年から90年まで続いた長寿番組だった。兼高のテレビでの「語り」は、品が良くて明晰な日本語だった。香蘭の後輩たちは「わが校の誇り」としている。19年1月に死去した。