「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として編集・書き下ろしし、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。
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子どもの弱点を全部ひっくり返す強力な「力」とは?
子どもの教育において、私は「言語化力は、オセロの石を一気にひっくり返すくらいの力を持っている」と伝えています。
例えば、オセロの盤面に「記憶力が悪い」「書く力が弱い」「コミュニケーションが苦手」「決断力がない」といった黒い石(ネガティブな要素)が置かれているとします。
親はこれらを一つひとつひっくり返そうと躍起になりますが、実は「言語化力」という強力な白い石を一つ置くだけで、これらがパタパタと白(ポジティブ)に変わる可能性があるのです。
なぜ「言語化力」ですべてが変わるのか
理由はシンプルです。
学力も、思考も、コミュニケーションも、すべて「言葉」をベースに行われているからです。
例えば、語彙力が増えれば、理解できる言葉が増えます。すると、先生の話や教科書の内容が頭に入りやすくなり、結果として「記憶力」も上がったように見えます。
また、自分の気持ちを的確な言葉で表現し、相手にわかりやすく伝えることができれば、もじもじせずに堂々と振る舞えるようになり、「コミュニケーション力」や「自信」つきます。
「言語化力」は「OS」のようなもの
親御さんが気にする「学力」の面でも効果は絶大です。言語化力が高まれば、テストの設問を正しく読み解く「読解力」と、答えを的確に記述する「回答力」が同時に高まるからです。
つまり、言語化力とは単なる「国語の成績」の話ではないのです。たとえるなら、言語化力はひとつの「アプリ」ではなく、すべてを支えるOS(PCやスマホを動かす基本ソフト)のようなものなのです。
子どもを変えようと無理強いするのではなく、子どもが本来持っている「言語化の種」を育ててあげること。それが、結果として子どもの全方位的な成長につながっていくのです。
*本記事は、山口拓朗著『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の「保護者向け はじめに」に大幅に加筆し、編集したものです。






