デキる上司の「結果を出す技術」写真はイメージです Photo:PIXTA

「優秀な人材を採用したい」――あらゆる組織のリーダーがそう考えるだろう。しかし、それよりも大切なのは、組織を壊しかねない要注意人物を採用しないことだ。職場の部下や同僚、そして顧客など仕事の関係者とトラブルを起こしかねない人材を面接で見極める“魔法の質問”とは?

転職者2000人超を指導し、ミスマッチ転職率44.0%から9.1%に劇的に改善させた川野智己さんが、これまでの指導経験をベースに、面接で要注意人物を見極める方法をストーリー形式で紹介する。(転職定着マイスター 川野智己)

若手面接官が
“パワハラ臭”を感じ取ったワケ

 マンション管理会社の採用面接。

 その日、面接官たちは一人の男性に強い好印象を抱いていた。

 ビジネスホテルで10年以上勤務し、フロント業務やクレーム対応の経験も豊富。落ち着いた声、丁寧な所作、礼儀正しい言葉づかい。

 履歴書には「顧客満足度向上」「クレーム削減」の実績が並び、“面接の教科書に出てくるような優等生”だった。

 応募してきた職種は、マンションのコンシェルジュ。

 住民対応、トラブル解決、来客案内……どれもホテル経験が生きるポジションだ。“ホテルマン上がり”はむしろ歓迎されることが多い。

「これは即戦力だな」

 ベテラン面接官はほぼ採用を決めかけていた。

 しかしこの男性、実は典型的なパワハラ体質の“敵味方思考”の持ち主だった。

 その本性は、同席していた入社7年目の若手面接官の、たった一つの質問によって暴かれることになる。