スタートアップ最前線Photo by Yuhei Iwamoto

労務管理SaaSを手掛けるスタートアップ、SmartHRが大きな一手を打った。2030年の売上高1000億円という野心的な目標を掲げ、新興ITコンサル企業の買収を発表。プロダクト提供にとどまらず、なぜ今「人」による支援を強化するのか。生成AIの台頭で「SaaSの死」がささやかれる中、連載『スタートアップ最前線』の本稿で、芹澤雅人CEOと森雄志CFOが大企業攻略と次なる成長戦略の全貌を明かした。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集委員 岩本有平)

ARR200億円を突破したSmartHR
「5年で売り上げ4倍」へ非連続な成長に挑む

 2015年末に労務管理SaaSの提供をスタートしたSmartHR。同社によれば、25年の時点で主力事業である労務管理SaaSの「SmartHR」はARR(年間経常収益)200億円を突破。登録社数は7万社を超え、そのサービス継続利用率は99%以上。労務管理クラウド市場でのシェアは、7年連続ナンバーワンをうたう。

 ARRとはSaaSビジネス特有の指標だ。SmartHRは未公開のスタートアップであり財務情報を開示していないが、ARR200億円という数字は、売上高で二百数十億円の規模になるとみられる。

 おおよそ「5年で売上高を4倍以上にする」というチャレンジングな目標を立て、非連続な成長が求められるSmartHRだが、26年1月には新興ITコンサル会社、KICK ZA ISSUEの発行済み株式の過半数を取得。グループ会社化を果たした。

 生成AIの躍進もあって、テック業界やメディアでは「SaaSの死」という言葉が飛び交う。直近には米国SaaS大手の株価が一様に下落するなど、業界への風当たりは強い。

 しかしSaaSの死という理解には誤解があり、AI時代にこそ「勝機がある」と芹澤雅人CEO(最高経営責任者)、森雄志CFO(最高財務責任者)は口をそろえる。

 一体どういうことか。次ページで具体的な勝算に迫る。