消費税増税と金利先高感という2つの要因に背中を押され、注文住宅市場が勢いづいている。注文住宅の最新トレンドを、戸建て住宅市場に詳しい不動産ジャーナリスト・目黒孝一氏に解説してもらった。
目黒孝一 めぐろ・こういち
1947年、北海道生まれ。不動産経済研究所で大手不動産・マンション各社、商社、住宅メーカーなどを中心に取材を重ねる。同社常務取締役を経て、08年よりフリーで執筆活動を続ける。
ハウスメーカーの家と
ローコスト住宅の価格差は?
いわゆるハウスメーカーの中には、テレビCMなどでおなじみの大手ハウスメーカーと、主にローコスト住宅を手がける会社の別がある。ローコスト住宅とは、一般に坪単価30万~40万円台、広さ30坪程度(約100平方メートル)を、1000万円台で建てられる住宅商品群をいう。これに対しハウスメーカーの家は、坪単価が70万~80万円台になる。
「どうしてローコストはそんなに安くできるのか」というと、さまざまなコストダウンの取り組みがある。第一に凹凸のない、ストンとした箱形の家になりがちだ。壁面が増えると建材も人件費も増すから、できるだけシンプルなつくりにする。自社のプレカット工場を持ったり、共同仕入れによるコストカットもある。設備は最新のもの、ただし普及型の廉価版が採用されるのはやむを得ない。
最近は街場の工務店でも、設計者が施主の相談に乗りながら、うまく法規制をクリアして狭小地にローコストの3階建てを建てるケースが多い。若い人好みのデザイン性を持たせるから、狭い家だが中に入ったらビックリ、という個性的なつくりのものもある。
ただ、低予算で建てたい人が、ローコストの坪単価だけに目を奪われると後で困る。建てる際は本体価格と別に諸費用が400万~500万円はかかるからだ。また、戸建ては特に地盤が重要だ。地盤調査費と、場合によっては地盤改良の費用もかかってくる。
ローコストのメーカーを選ぶ際の注意点は、住宅性能表示を確認、メンテナンスのしやすさも事前によくチェックする。なぜ安く提供できるかについても、納得のいくまで確かめたい。きちんとメンテナンスができないローコスト住宅は、劣化と陳腐化のスピードが速いと考えておいたほうがいい。