「何か新しいことをやろう」、「不安に感じる将来に立ち向かっていこう」という時だからこそ、自分の正直な気持ちと向き合い、自分を奮い立たせることが大切だからだ。こういう提言がアドバイスとして一般的に成立するのも、日本の40~60代には謙虚で真面目な人達が多いからだ。
70代で名作を生んだ葛飾北斎に学ぶ
大人になっても挑戦し続ける姿勢
“A man cannot be comfortable without his own approval.”(人は自分をごまかしている限り、満足のいく人生を送ることができない)とマーク・トウェイン(編集部注/『トム・ソーヤの冒険』著者)も言っている。自分と正直にかつポジティブに向き合わなければ3度目の誕生は果たせない。
『数学者に「終活」という解はない』(秋山 仁、講談社)
もう1つよく言われていることが、「他人と比較しない」、「他人を羨ましがらない」ということだ。「Envy is the ulcer of the soul.(妬みとは、魂の腐敗である)」と、既に紀元前にソクラテスが言っていたように、誰かを“お手本にしたいな”と思うのなら良いけれど、羨ましがったり妬みに思うと自分のエネルギーが正しい方向に向けられず、決して良い結果を生むことはない。
私の50~60代を振り返ると、まだまだバリバリ仕事をしていたし、同年代の友人達と集まってはよく飲みに出掛けてもいた。何かを始めるには、50代でも60代でも、まだまだ十分若い。気持ちを老け込ませてはいけない。葛飾北斎は90歳ぐらいまで生きたけれど、北斎は60代で、脳卒中か何かの大病をしたにも拘わらず、名作「富嶽三十六景」を描いたのが70代に入ってからなのだから。年齢を言い訳にして尻込みしてはいけない。







