「高校のときから対決して、そのまま大学に上がってきたので、マヤカに対しては負けられないという意識がすごく強かったです。
彼は、トラックも強いけど、それ以上にロードが強い。前半からガンガン飛ばして、日本人にはできない、天性のバネを生かした走りをする。1年生のときの箱根も、チームでマヤカをどう止めるのかという話をかなりしたのは覚えています。それだけに、自分がやってやるという気持ちでいました」
注目された初の2区の対決は、マヤカが区間賞を獲得した。
渡辺は区間2位で繫ぎ、早稲田大学は1区櫛部静二、3区小林雅幸、4区花田勝彦、7区武井隆次、8区高瀬豪史たちが区間賞を獲る走りで往路復路ともに制し、8年ぶりの総合優勝を果たした。
マヤカに宣戦布告
「1時間06分台を出して勝つ」
「箱根で優勝できたことは嬉しかったのですが、満足はしなかったです。やっぱりマヤカに負けてしまったので……。負けるのが大嫌いだったので、次は、絶対に自分が勝つ。待機所で負けたことを聞いたときからそう思っていました」
2年生になると、早稲田大学は“過去最強チーム”と呼ばれるようになった。
三羽烏(編集部注/渡辺の2学年上の、櫛部静二、花田勝彦、武井隆次の3人)に渡辺という強い選手が集ったことで、新入生に質の高い選手が集まり、選手層は随一といわれた。マヤカを擁する山梨学院大学も強いが、早稲田大学の連覇はかなり現実的だという前評判だった。
第70回箱根駅伝の1区は、花田が予想したとおりになった。渡辺はトップを走り、1時間01分13秒の区間新記録をマークした。だが、2位の山梨学院大学の井幡政等も区間新記録の快走を見せ、渡辺は27秒の差しかつけられなかった。
花田が危惧したとおりの結果になり、2区でマヤカの恐怖と戦うことになった。
早稲田大学は2区で花田が9キロメートル過ぎにマヤカに追いつかれ、12.8キロ地点では腹痛も重なり、失速。
瀬古利彦(編集部注/エスビー食品陸上部監督を務めつつ、母校・早稲田大学でコーチを兼任)が花田に課した設定は、「1時間07分30秒以内でトップをキープ」だったが、1時間08分14秒の区間3位だった。
トップのマヤカに40秒の差をつけられて逆転され、そのまま山梨学院大学が往路復路ともに制し、早稲田大学の連覇を阻止した。
渡辺とマヤカが入学してからの箱根駅伝での戦績は、1勝1敗になった。
第71回箱根駅伝前、渡辺は、マヤカに宣戦布告をした。







