権太坂でペースを落としたマヤカに
6人をごぼう抜きした渡辺が迫る
渡辺は2キロメートルに達しないうちに、専修大学、東京農業大学、東海大学を抜かすと、2.5キロ地点で中央大学、日本大学、順天堂大学を抜かして、6人抜きで3位に上がった。
「僕は、いちおう時計をつけているんですけど、あんまり見ないんですよ。自分の感覚に任せているので、その日の調子の流れに乗って走っているんです。
このときは、調子が良かった。最初から単独走になりましたけど、普段からひとりでレースをつくるということを当たり前として練習してきたので、まったく問題がなかった。すべて自分の力で切り拓いていく。記録を絶対に出す。そのために23キロを全力で走りきることしか考えていなかった。何人抜いたとか関係なく、1時間06分台という記録のためだけに走っていたんです」
渡辺は、単独で前を走るマヤカを追った。
10キロ地点のタイムは、28分32秒、マヤカは28分39秒だった。その後、あまりペースを落とさず、両者とも権太坂に入っていった。
15キロメートル、マヤカは43分32秒、渡辺は43分09秒だった。マヤカの5キロメートルのラップが少し落ちた。
「マネージャーたちが13キロ地点にいて、渡辺と何秒差というのを知らせてくれたんです。それで何回か時計で確認をして、これは急がないといけないと思いました。やっぱり渡辺が見えないのでちょっと焦ってしまうんですよ。しかもひとりで走っていたので、目印になるものがなく、先導する白バイを追って走っていました」
「トップで襷をもらったのに
負けたらみんなに合わせる顔がない」
渡辺は、区間記録を更新することだけを考えて走っていた。
「1年時、2区を1時間08分48秒で走ったんです。6分台を出すには、2分縮めないといけない。前半で1分、後半で1分を縮めるというイメージだったんです。そうなると5キロで前回よりも15秒早く、10キロでは50秒早いタイムが必要になるんです。
最初の5キロを見たとき、前回よりもかなり早く、10キロを確認すると、あっいけるなという手応えがありました。権太坂では、まあまあアクセルを踏んで、てっぺんで休みながら下っていく。下りが終わったら平坦な道を走り、最後の3キロに向けて心と体の準備をする感じでした」







