『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第110回は、受験における「カッコ付け」の有用性について考える。
「東大行きます」→4年後に火が付いた
東京大学現役合格を目指す藤井遼は、東大OBの矢島勇介の話を聞き、「カッコつけるならマジで東大に入らなきゃシャレにならない」と思い直した。それまでの斜に構えた態度を改めて、勉強に打ち込むようになる。
カッコつけることは受験勉強において大事な要素の1つだと思う。カッコつけることで、「これだけ言ったんだったらやらないと」という気になる。プライドが高い人ならなおさらだ。
ただ、そのためには「カッコつけたいと思う相手」=「そのカッコつけが失敗した時に、心底恥ずかしいと思うような相手」がいないと意味がない。ネットなどで不特定多数にカッコつけても、「まあいっか」で終わってしまう。
友達、先生、家族、恋人、誰でも構わない。いざという時に、こいつにならカッコつけられると思う対象がいることが重要だ。しつこいと思われるくらいにカッコつけて、そのカッコつけに見合う努力をせざるを得ない状態を作る。
私も中1の頃の担任に「東大行きますから」と冗談半分で豪語していたが、高2になってその先生が「あいつはあんなことを言った」と言いふらしてくれたおかげで、逆にやるしかないと火がついた。
カッコつける相手をリアルに作っておくことは、メンタルケアの部分でも重要だ。間違った方向に進みそうになった時に修正してくれるし、何より、たとえそのカッコつけが失敗した時にも、(相手選びを間違えていなければ)バカにせずちゃんと向き合ってくれるだろう。もちろん、カッコつけに見合う努力をしていた場合に限るが。
実力がなくても、とりあえず言ってみる
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
私もそうだが、勉強に限らず何かを周囲に宣言する時には「ある程度の実力がないとその資格がない」と思いがちだ。例えば東大のことを全く知らずに、受かる見込みを全く持たずに、東大を受験すると言うのは適切ではないと思うかもしれない。
だが、もし本当に東大合格を目指しているのであれば、遅かれ早かれいつかは周囲の人に言わなくてはいけない。
宣言が遅ければ遅いほど、「このタイミングで言うのだから、以前よりももっと実力を付けておかなければ」という意識がつきまとってしまう。そしてどんどん宣言するハードルが高くなり、周囲の協力を得づらくなり、1人で戦うことになってしまう。
それに、「言ってないのだから誰も知らないし、諦めてもいいかな」と甘えてしまう。何より、言うか言わないか迷っている時間が一番もったいない。
自分が何か宣言したからといって周囲の人がそれを覚えているとは限らないし、ましてや自分が宣言しようと迷っていたことなんて知る由もない。まずは言うが吉だ。反対されるかもしれないし、バカにされるかもしれない。だがそこで諦めがつくのであれば、かえってその程度の悩みだったということだ。
志望校の変更でも、受験する・辞めるの決断でも直感的に悩み出したことはすぐ誰かに言うのがいい。どっちに転ぶかはわからないが、何かしらの形に帰着させることができる。
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク







