部下を評価するとき、行動量と労働時間の長さを重視しているようなんです。私は保育園に通う子どもがいるので、業務時間は独身社員に比べれば短くなります。

 でも、前職の経験を生かして提案資料を工夫したり、会社が推奨する電話ではないものの、メールでのフォロー案内を行っていて、他の社員と比べても受注率は決して悪くないと思います。

 なのに、上司は架電量や訪問量などのKPIが未達という理由で、私に細かく業務指示をしたり、微細なことにも報告を求めるようになりました。そのため業務の予定が狂い、急に残業を命じられることも増えました。残業はできないと最初から伝えているのに……。最近、社内SNSで私を揶揄する発言もあり、出勤するのが苦痛です。これはパワハラではないのでしょうか?サトミ(30代・女性)

 サトミさんが転職したA社の営業部は3つのチームに分かれていて、チームで月次KPIの達成を競い合う風土があります。個人成績を上げることでチームの評価を高めるという雰囲気があり、数字をつくれる社員が評価される文化がありました。

 サトミさんが配属されたチームのリーダー(課長級)であるアベさんは、いわゆるプレイングマネージャーで、営業畑一筋で目覚ましい成績を上げてきた実力者です。しかし、管理職としての研修受講や部下育成の経験は乏しく、自分がプレイヤーとして成功した手法をそのまま部下に押し付ける傾向がありました。

 サトミさんも成果を出すには一定の行動量がいることは理解していて、営業行為を惜しむつもりはありません。しかし、未就学児を抱える中、電話をかける回数や企業訪問量という指標では周囲に劣るところがありました。

 サトミさんは、次第に上司のアベさんから毎日予定を報告させられ、細かな業務指示や確認、進捗共有を求められるようになりました。その結果、残業が必要になることが増えました。

グループチャットで揶揄され
転職覚悟で人事部に相談

 サトミさんが保育園の送迎を理由に残業を断ると、アベさんは「全員で貢献すべきなのに、足を引っ張っている人がいる」「自分の能力不足を子どものせいにしてはいけない」などと、チーム全体のグループチャットで揶揄するような発言をするようになりました。