一度嫌だと伝えましたが、「ハムって呼ばれたくないなら痩せなよ」と言われて取り合ってくれませんでした。

 もともと太りやすく、多汗症で、夏場は体臭が強く出てしまうときもあり、すれ違いざまに「臭いよ」と言われたりして辛いです。この体質がずっとコンプレックスなのですが、最近はそれに加えて下痢がひどく、通勤のバスに乗ることが怖くなりました。病院を受診しましたが、精神的なものではないかと言われました。

 いったん休職するつもりですが、社員数50人程度の会社なので、復職してもまた同じあだ名で呼ばれるかもしれません。改善されないなら、いっそこのまま会社を辞めたほうがいいかと悩んでいます。ユウヤ(30代・男性)

 ユウヤさんは2ヵ月ほど前から通勤時の下痢症状に悩んでいましたが、通っていた消化器内科クリニックの主治医から「過敏性腸症候群」の診断書を受けたことを機に、会社に休職を申し出て、3ヵ月の休養を取ることになりました。漏らしてしまうことへの恐怖で、通勤でバスに乗ることが困難になったことに加え、出社しても打ち合わせなどトイレのない状況に短時間でもおかれることに不安を感じ、業務にも支障が出始めたからです。

 ユウヤさんの先輩であるハヤタさんは、明るくて頭の回転が速く、周囲も一目置くタイプです。きわどい発言をしても面白がられることが多く、仕事ぶりも的確で、上司や女性社員からの評判も悪くありません。

 しかし、ユウヤさんはハヤタさんが自分を「ハム」と呼ぶたびに不快な思いをしていました。一度は「やめてほしい」と伝えましたが取り合ってもらえず、周囲がハヤタさんの発言に笑っているのを見ると反論する勇気が出ませんでした。むしろ自分に問題があるのではないかと考えて、落ち込んでいました。

男性社員同士でも
セクハラは成立する

 休職中、ユウヤさんは男性から男性へもセクハラが行われることをネット記事で読み、自分がハヤタさんから受けていたものはセクハラなのではないかと考えるようになりました。

 そこで、復帰意向の確認で連絡を取ってきた総務課の職員に相談したところ、事実確認をさせてほしいと申し出があり、ユウヤさんはそれを受諾しました。