「私はたまたま『Suno』と相性が良かったので愛用していますが、『Udio』や『BandLab』といったアプリも有名です。このあたりはインターフェースの使いやすさや、お使いのスマホやパソコンの環境(OS)に合わせてセレクトすればいいのではないでしょうか」

 ちなみに、これでもまだAIが介在することに苦手意識を感じてしまう人には、「いっそAIを使わずに音楽を作ることをお勧めしたい」とバーバラさんは言う。

DJってこんな感じなのか!
素材を組み合わせながら作曲も

「たとえば『Launchpad』というアプリでは、0からオリジナルの楽曲を作るのではなく、あらかじめ用意された素材を自由に組み合わせる、いわばDJのようなやり方でひとつの音楽を完成させることができます」

「Launchpad」とは、iPhoneまたはiPad向けの無料リミックスアプリだ。

 具体的には、ドラム、ベース、メロディ、パーカッションなど、パートごとに様々な音の素材がまとめられていて、ユーザーは「ドラムのリズムパターンはこれを、ベースラインはこっちを」といった具合に、組み合わせの妙によって自由に音楽を作ることができる。

「とはいえ、素材が無限にあると、かえって迷ってしまいますよね。その点、このアプリのいいところは、“House”や“Retro Funk”など音楽のジャンルごとに素材がまとめられていることです」

 指定した音楽ジャンルに合わせて素材をソートできるのは、あたかも和洋中で区別される、ホテルのビュッフェのようである。

 なお、素材は一部有料のものもあるが、作曲初心者には課金せずとも十分に楽しめそうだ。

 ちなみに、iPhoneやiPadユーザーであれば、「GarageBand」という音楽制作アプリがもともとインストールされているはずだ。こちらも「Launchpad」と同様、音の素材を並べるだけでひとつの曲を作ることができるもの。

 別途、録音機材が必要にはなるが、自分の歌声や楽器演奏のデータを素材として取り入れ、編集することも可能なので、よりオリジナリティの高い作品に仕上げられるだろう。Androidユーザーにも似たような機能を持つアプリが複数あるので、さらに凝りたい人はぜひ試してみてほしい。

 また、こうした無料アプリによる作曲では、作品の著作権が自分に付与されないケースが多い。あくまで個人で楽しむことが前提なので、注意してほしい。

 それでも、本稿で紹介したようなツールをきっかけに作曲に目覚めたなら、有料ツールを導入してステップアップを目指すのもいいだろう。最近は同人即売会やオンラインで、自分が作った曲を販売して売り上げをたてることも可能だ。

 バーバラさん自身、子どもの頃は「リコーダーの成績はいつもクラスでビリだった」という底辺からのスタートながら、いまでは積極的に音楽理論を学び、作曲が仕事のひとつになっているというから夢がある。

 音楽知識ゼロからの作曲活動を、ぜひ思い思いに楽しんでいただきたい。