米中「AI冷戦」の均衡いつまで続く?日本企業に迫る「2026年のリスク」とは写真はイメージです Photo:PIXTA

米中首脳会談後は
融和姿勢をアピール

 米中関係は2025年を通じ、関税や輸出規制を巡って何度も緊張が高まったが、足もとでは小康状態にある。

 実際、トランプ大統領は2026年4月の訪中に前向きな姿勢を示しているほか、同年後半には中国の習近平国家主席を米国に招く意向も示している。さらに、2026年には米国でのG20サミット、同年11月には中国でのAPEC首脳会議の開催が予定されており、米中首脳会談の舞台となりうる国際会議も控えている。

 こうした状況の背景には、2025年10月に第2次トランプ政権発足後として初めての対面での米中首脳会談が実現したことが大きい。同会合では、フェンタニル関連関税の引き下げや中国による米国産大豆の輸入再開といった通商分野での合意がなされ(図表)、融和的なムードが示された。

 もっとも、米中対立の主戦場であるハイテク分野については、期限付き・限定的な取り決めであり、構造的対立を解消するには至っていない。実質的には「休戦・棚上げ」に近い状態である。

 さらに、ハイテク分野に不可欠なレアアース(希土類)の中国による輸出規制をめぐっては、足もとで一定の緩和措置が打ち出されたものの、米中双方の受け止めにはなお齟齬(そご)があり、今後の重要な交渉論点となる。ハイテク分野は技術覇権と安全保障が密接に連動する領域である以上、両国の戦略的競争は長期化が不可避とみられる。