ある程度規模の大きい教会では、子どもが幼い頃から様々なイベントに参加するため、そこで縁ができ結婚したというエピソードは韓国では珍しくない。

 この知人は、もともとは進歩系の政党を支持していたが、クリスチャンになってから保守政党支持に変わっている。理由のひとつが、家族観の違いだ。LGBTQなど、性的マイノリティの社会的包摂には反対の立場をとっている。

ジェンダーの対立が深まる社会で
恋愛がしにくくなった

 李の話を横で聞いていた宋は、うんうんと頷きながら、結婚した時から子どもは別にいなくてもいいと思っていたと話す。

「サランともよく話をしましたけど、彼女が産みたいっていう意志がなければ、それを尊重したい。だいたい出産って個人的なことですからねえ。今の国の政策が子どもを持つことを前提にして組み立てられているのは間違っていると思いますね」

 宋は、政府が経済的支援を通じて出産や育児に介入することには違和感があると話す。彼は、未婚者が増えている背景にはもっと根本的な社会の変化があると指摘し、「だいたい今の20代は恋愛自体をしなくなっている」と語った。

 隣の席の李が頷き、言葉を継ぐ。

「本当に恋愛しなくなっちゃったみたいですよ。やっぱり、ジェンダーの葛藤が影響しているように思いますね。

 フェミニズムが広がって、ME TOO運動もあったし、江南女性殺人事件(編集部注/ソウル市内の地下鉄江南駅近くの地下にある男女共用の公衆トイレで、20代の女性が殺害された事件。当時35歳だった犯人は「数日前に別の女性からたばこの吸い殻を投げつけられた」と供述したため、「犯行はミソジニーによるものだ」として、「被害者は私だったかもしれない」という思いが女性たちの間に広がった)やN番部屋事件(編集部注/テレグラム内のチャットルームで、脅迫により得た女性の性的な写真や暴行映像を有料で会員らと共有していたデジタル性犯罪。2020年に発覚し、大規模摘発された)のような女性を脅かす事件が続いたから。

 ここから大きくなったジェンダーの葛藤は恋愛とか結婚にすごく影響を与えていると思います」