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異世界転生ものが空前のブームだ。『転生したらスライムだった件』をはじめ、『幼女戦記』『【推しの子】』など、多くの作品が爆発的な人気を獲得し、もはやジャンルとして完全に定着した。しかし、これらの作品がヒットする原因を探っていくと、現代社会特有の残酷な価値観に支えられていることがわかってきた。『転スラ』ブームに潜む社会の病理とは?※本稿は、文芸評論家の三宅香帆『考察する若者たち』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
令和のヒット作品は
猫も杓子も「転生」もの
筆者は現代のヒットコンテンツを象徴する言葉として「考察」を用いている。
考察とは「作者の正解を当てる」ゲームである。つまり現代のヒットコンテンツの特徴は、正解やゴールといった、「報われる」ゴール地点が設定されていることにある。
そして推し活もまた、そのような「報われる」ゴール地点こそが重要なポイントである。
ここで考えたいのが、「転生」ブームである。
『【推しの子】』『本好きの下剋上』『幼女戦記』など、とくにアニメやライトノベルのジャンルにおいて、「転生」は大きな流行の1つになっている。もはや一大ジャンルと言っていいだろう。ミステリとかホラーと同じように、いまは「転生」というジャンルが存在している。
「転生」とは何か。死後に他の場所(多くは異世界である)で生まれ変わり、新しく人生をやり直すことだ。多くの場合、前世での記憶をもったまま生まれ変わる。
たとえば『転生したらスライムだった件』(伏瀬、マイクロマガジン社、2013~2015年、以下『転スラ』)は関連書籍シリーズ累計発行部数5600万部突破(2025年7月時点)、アニメは配信で海外市場にも進出するほどの大人気シリーズだ。







