「京都始発」「品川終着」の設定で
早朝・深夜時間帯の増発を実現
今後「13本ダイヤ」はさらに拡大するのか。JR東海は「既に高頻度での運転となっており、増発は容易ではない」として、全時間帯の13本化は未定としているが、増発に必要な車両さえ確保できれば不可能ではないだろう。
もうひとつの目玉が、早朝・深夜時間帯の「のぞみ」増発だ。現行ダイヤでは東海道新幹線上り初電は新大阪駅6時発の「のぞみ210号(改正後は230号)」だが、京都駅6時3分発臨時「のぞみ548号」東京行きを新設し、東京駅到着が11分早くなる。
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また、現行の博多駅19時発(新大阪駅21時24分発)東京駅23時45分着の最終「のぞみ64号」の後に、博多駅19時18分発(新大阪駅21時45分発)品川駅23時59分着の臨時「のぞみ206号」を新設し、博多で18分、新大阪で21分滞在時間が延びる。
新幹線は騒音規制の関係上、6~24時の間しか運転できない。この制約下で車両運用の見直し、回送列車の活用、夜間の保守作業との兼ね合いをJR西日本などと調整し、史上初となる「京都始発」「品川終着」列車を設定することで、門限ギリギリの増発が実現した。
この他、利用が多い日に限り、東京駅20時発広島駅23時54分着の広島行き最終「のぞみ89号」の後、20時9分発の「のぞみ287号」新大阪駅行きを広島駅23時59分着の列車として延長運転する。数十秒を積み重ねた、もはや執念というべきダイヤ改正だ。
コロナ禍当初、東海道新幹線利用者の激減に対して「ビジネスモデルの崩壊」を指摘する人は少なくなかったが、現在のデジタル技術ではまだ、人の移動という本質的価値を置き換えられないという現実がかえって明らかになった。
本来であればまもなく開業していたはずのリニアが、東海道新幹線の輸送体系を大きく変えていただろうが、当面は現行設備でやりくりしていくしかない。のぞみ13本ダイヤはJR東海の救世主になるだろうか。







