このため、マンションの建築確認申請が受理された日をチェックする必要がある。売主側に建築確認の通知書を発行してもらい、確認することになる。旧耐震であっても「耐震基準適合証明書」が取得できれば、フラット35であれば住宅ローンが借りられるが、金利が高い分、安くしか売れないし、買い手が少なくなる分、売却しにくいので現実的な選択肢とは言えない。
他に価格を下げる方法は、土地の所有権を捨てて、借地権の物件にすることだ。山手線の内側くらいの借地権にしておかないと、資産価値の落ち方が大きいことは忘れてはならない。
10年後に築30年の物件は
果たして売れるのか?
中古の築年のひとつの目安として、2001年以降を推奨しているが、その理由は2001~2003年の最もマンション価格が割安だった時期を含むからである。「21世紀物件」としてちょうどいい区切りとなっている。これ以前になると、新築時の価格は高くなり、面積も大きいとは言えなくなる。
2001~2003年頃は首都圏で大量供給が続いて物件数も多く、地価も建築費も安かったので、面積も広く、居住性にも優れている。そんな築20年を買った場合の不安の最たるものは、10年後の築30年になっても売れるのかということで、よく質問される。この疑念に答えを見出そうと思う。
首都圏の中古マンションの成約事例の平均築年数は2019年が21.64年で、2024年は24.53年になっている。この5年間で2.89年増えているが、これは、1年経過で築0.6年ほど古くなることを意味している。最近の新築供給戸数が以前の数分の1しかないので、築浅中古の取引件数は自然と少なくなるからだ。
今後も新築供給戸数は減少基調になるので、「1年経過で築0.6年古くなる」傾向は続くと考えられる。
そうなると、10年後には取引中古物件の平均築年数は6年増えて30年超になる。つまり、今購入した築20年のマンションを10年後に築30年で売る際には、市場取引の平均築年数30年の平均値ということになる。この頃には、築30年の物件は当たり前に取引されているということだ。
たとえ取引件数があっても心配なのは、その取引価格だ。築古は二束三文でしか売れないというのでは困る。この10年の中古取引単価の高騰は平均して54%増だが、築31年以上は50%と同様に値上がりしている。築5年までが75%増、築10年までが63%増と比較すれば劣るが、決して相場の高騰の波に乗れていない訳ではない。
築古ほど価格の値落ちが激しいということはない。2001~2003年竣工物件の立地の良さと面積が広めの物件のポテンシャルがそうさせていると考えている。
とにもかくにも自宅は現時点で買っていないのが一番ダメだ。譲歩できる範囲で購入検討を進めなければならない。
(スタイルアクト代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)







