
将来予測から現在を考えて
「今どうするべきか」戦略を練る
予測は「当たるも八卦当たらぬも八卦」と思われる人が多い。私は不動産関連の予測を仕事にしているが、当て続けている自負はある。このため、自分が本やコラムで書いたことや動画で発言したことを常に残すようにしている。後に検証されることを前提としているからだ。
私のコンサルティングの基本パターンの1つは「将来予測がこうなるから、将来から現在を考えると、こうした戦略を取る」というものだ。例えば、新築マンション価格は3年先まで上がるから、現時点でマンション購入しておくことを勧める。これの逆は、過去と比較して「こんな高い価格は前代未聞で、暴落は時間の問題だ」などと言うことだ。当たらないなら意味がないだけでなく、それを信じた人に迷惑をかけることになるだけだ。
私の場合、筆者が運営する住まいサーフィンの会員の購買行動の結果が端的に答えになる。この1年に会員が自宅を査定した結果約2.5万件の含み益が出ている確率が99%に及んでいる。不動産は再現性が高い市場なので単純に当てやすい。
また、予測や主張は業界の人や一般の方に気に入られようとは思っていない。業界にとっては不都合な真実もあるだろうし、現状の業務を否定することもよくある。しかし、現時点で評価されることを無視して、将来時点で評価されることを基準にしている。予測が当たっていれば「こうしておいて良かったでしょ」と言うだけだ。現在は非常識でも、将来は常識になることも往々にしてあるものだ。
先日、X(旧ツイッター)のAIが住宅系YouTuberについて回答した結果で、私のものがあった。「沖氏はデータに基づく分析で知られ、暴落予測を煽ることなく、現実的な相場感を提供。過去の予測も概ね市場動向と一致しており、実需・資産形成の両方で最も参考になる専門家と言えます」というものだった。
AIはX上の投稿を読み込んで学習していると考えられるので、これは多くの人の意見の集約と見ることができる。しかし、これだから合っているという訳ではない。多くの人が言っていれば正しいというのは短絡的過ぎる。