狙いを定めているのが伝わるから
「本当に気を遣う」
――会食を「仕事の延長戦」と捉えて、契約を取り付けるとか、有利な条件を引き出すなどの具体的なリターンを狙う人もいます。
藤田 そういうタイプの人と食事をすると、本当に気を遣うんですよね。狙いを定めているというのは相手にも伝わってしまうものです。私自身、会食で仕事を取りに行こうとは思っていません。
真面目な人ほど、「会社の経費を使っている以上、何か仕事をしなくちゃ」と思ってしまうのかもしれませんね。
会食で一番重要なことは
「仲良くなること」
――では会食の場で仕事の話はしないのでしょうか。
藤田 仕事の話をしないと決めているわけではないです。するときもあれば、しないときもある。ただ、会食の場で契約を取ろうとか、有利な条件を引き出そうとか、そういうことを考えたことはないですね。むしろ、そんなことを考えずその場を楽しい場にしたほうが、結果的にいい方向に進みます。
会食で一番重要なことは「仲良くなること」、つまり信頼関係を作ることです。それを主目的にして、思う存分、食を楽しみ、酒を楽しんで帰ればいいと思います。
信頼関係ができれば、自然と具体的な取引に繋がっていきますし、会っているからこそ、いい話が舞い込んでくることもあります。
人間関係ができていると
致命的な対立を防げる
――会食を通じてできた人間関係がベースになって、あとから成果がついてくるということですね。
藤田 そうですね。会食を通じて人間関係ができていると、致命的な対立を防ぐことにもなります。
ビジネスの世界では、競合になりそうな会社と利害がぶつかって、緊張感が張り詰めた空気になることがあります。でも、トップ同士が普段から会食を重ねて人間関係を作っていれば、現場で問題が生じたとしても、比較的穏便に済ませることができます。
15年以上前、当時ヤフーと関係が上手くいっておらず、そんな中ヤフージャパンの井上雅博社長(当時)との会食の場に持っていったワインがきっかけで、取引が正常化したということがありました。そういうこともありますからね。







