能力があるのに勿体無いというのもあり、心機一転、起業に参加しないかと誘ってみたのだった。

 そこから日高はどう変わっていったのか。直接の上役である私からすると、ずっと下から火で炙っていた感覚だった。それも強火にしたり、弱火にしてみたり、様子を見ながら加減を調整していた。

 彼が漫画やゲームが好きでサボり癖があるのは知っていたので、仕事に余裕があるとすぐ手を抜きそうだなと思っていた。そういう時は強火にして追い込む。

 一方で、やり過ぎると糸が切れそうなところもあるので、そういう時は弱火にしておく。

 そんな風に強火と弱火を繰り返すようなマネジメントをしてきた感覚が、私の中にはある。

自分自身を追い込まないと
楽なほうに流れてしまう

 かくいう私も、実は、ゲームと漫画と小説と映画とスポーツ観戦etc.が好きで、放っておくと堕落してしまう傾向がある。

 外からは、私がずっと真面目に仕事に取り組んでいるように見えるのか、昔から「どのように高いモチベーションを保っているのですか?」と聞いてくる人がいるけど、その答えは「下から火で炙られているような感じで」だ。

 取材でデカいことを言ったのが記事になって後戻りできないとか、もう多額の投資をしてしまっているとか。巻き込んだ人に絶対に迷惑はかけられないという「責任感」に突き動かされ、サボれない状況、負けられない状況を自分で作る。そして自らが追い込まれるというのがいつものパターンだ。

 そうし続けないと、会社の成長が止まってしまうという「危機感」もある。

 逆に言えば、大きな夢を掲げて、とか、実現したい未来が、というような、上に理想を掲げるのは動機としては全く信じていない。そういうのは長続きしないし、本当の苦しさ、辛さを乗り越えられるものではないと思っている。

FC町田ゼルビア黒田剛監督の
悲劇感を揺さぶるマネジメント

 起業した最初の頃は、我々はそれこそ狂ったように働いていた。平日は朝9時から深夜2時までを毎日、土日は12時間、週に110時間働いていて、文字通り、寝る時間以外は全て仕事をしていた。