別の観点で言うと、「そこまで好きじゃないけど、集中して仕事をするのは苦じゃない」くらいの適度な距離感のほうが、変なこだわりを持つことがないので「あくまでも仕事」と割り切りがしやすいんじゃないでしょうか。

 たとえば僕はプログラムが書けますが、仕事としてやるだけで、趣味ではやりません。書かなくていいなら書きたくないくらいのレベルです。こういう状態だと、自分の成果物に対して過剰な執着を持たないので、製品が納品可能なレベルになったら「もうこれでいいや」とさっさと手放すことができます。

完璧なものを作ろうとするより
70点で納品したほうがいい

 大半の仕事がそうですが、及第点までもっていく作業はそこまで大変ではなく、そこから細部を詰めたり、精度を上げたりする作業に膨大な時間をかけがちです。

 日本人が大好きな、「神は細部に宿る」というヤツ。プログラムにしろ、文章にしろ、デザインにしろ、その仕事に対する情熱が高い人ほど「オーバーワーク」と「オーバースペック」になりやすい気がするのです。

 いい仕事をすることでお客さんがリピートしてくれるといった価値はあるでしょうが、プログラミングの業務のようなものであれば、会社的には70点で納品しても100点で納品しても受け取る金額が一緒なら、さっさと納品してほかの仕事をやってくれない?というケースもあります。

 まさに、トヨタの「巧遅より拙速」ですね。

 やらないといけないこと以上の仕事をしても、怒られることはありません。でも実はこだわりすぎて仕事が遅くなり、会社に損害を与えている可能性があることは頭の片隅に入れておいたほうがいいと思います。

 僕が就職や転職の相談を受けるときに「好きなことを仕事にするのは危険かも」という話をよくしますが、それは好きな仕事ほど損をしやすいからです。

「やりがい搾取」みたいに安月給で我慢したり、オーバースペックの仕事をしたり、ひとつのやり方にこだわりすぎて周囲と衝突したり。自分が好きなことは誰よりも集中しやすいというメリットもあるのですが、デメリットもある。

 メリデメを意識しながら、冷静に自分の仕事のスタイルを考えたほうがいいかもしれません。