「AI」や「データサイエンス」が学べる大学院と聞くと、文系出身の社会人にはハードルが高いと思いがち。そこで、特集『ChatGPTで激変!コスパ・タイパで選ぶ 最強の資格&副業&学び直し』(全20回)の#6では、そんな社会人にも優しい入試やカリキュラムを用意する大学院リストを掲載。さらに、情報処理技術が学べる名門ビジネススクール(MBA)も併せて紹介する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
大学院生の4人に1人が社会人
ITスキルを学びたい文系出身者が増加
社会人の「学び直し」の最たる場として、注目されているのが大学院だ。
学部から直接大学院に進んだ割合は2010年度の15.9%をピークに減少傾向に転じて久しい。一方で、大学院生に占める社会人の割合はこの20年間、ほぼ右肩上がりで、大学院生の4人に1人が社会人となっている。
目下、にわかに社会人から人気が高まっているのが、AIや統計学、情報工学を駆使したデータ解析の手法、データサイエンスを学べる大学院だ。
といっても、ゴリゴリの理系出身の社会人だけが目指しているのではない。
「時代の変化をひしひしと感じている」――。そう話すのは、大学院受験の個別指導塾、究進塾(東京都豊島区)の並木陽児社長だ。「生成AIへの関心が高まったこともあって、今年に入り、文系出身者でも受験しやすい文理融合型の大学院への受験に向けた指導相談が目に見えて増えている」(同)という。
また、大学院受験予備校講師の赤田達也氏は、「世界の大学の常識に合わせて、日本でも文理融合型の大学学部や大学院が増えている。AIやデータサイエンスと聞くと一般的には理系のイメージが強いが、文系の研究科でもその分析手法が当たり前のように使われており、ITスキルは文系、理系に関係なく必須のものとなりつつある」と指摘する。
その親和性が文系の中でとりわけ高いのは、全てのビジネスパーソンが学ぶべき、経営学や経済学といった学問領域だ。
実際、東京都立大学大学院経営学研究科の経営学プログラム「データサイエンス・プロジェクト」のように、その名称から「経営学×データサイエンス」が学べることが明らかな課程もある。
だが、「昨今、AIやデータサイエンスを学べない経営学大学院はほとんど存在しない。また、経営学や経済学以外の研究科でも、文系出身者がAIやデータサイエンスを学べるハードルの低い大学院は少なくない。まず社会人に優しい入試やカリキュラムがある研究科を探した上で、自身が学びたい、研究したい内容と合っているか、指導教官の専門分野を調べて受験先を選んでほしい」と赤田氏。
文部科学省は21年に、大学生(大学院生を除く)や高専生の数理やデータサイエンス、AIを活用する基礎的能力の育成を目指す、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(MDASH)」を創設。文理を問わず、大学生と高専生全員(年間約50万人)が、初級レベルの数理、データサイエンス、AIを習得することを目指している。
各企業が、こうしたスキルを常識として身に付けた新卒社員を大量採用する時代が目前に迫る中、背を向けていては時代に取り残されかねない。
そこで次ページでは、赤田氏の協力を得て、データサイエンスによるデータ分析が当たり前となったMBAとMOT(技術経営)の名門大学院リストに加え、それ以外でAIやデータサイエンスを学べる大学院をリストアップした。
いずれも文系出身の社会人でも挑戦しやすい入試方式とカリキュラムを用意している大学院ばかりをピックアップしている。MBA、MOTの取得に加えて、AIやデータサイエンスのリスキリングを考えている社会人の大学院選びにきっと役立つはずだ。