――ご兄弟とも志望校に合格されましたものね。読者の皆さんの参考になるかもしれないので、少し後藤家の事情を教えて頂けますか?
私は地方出身で小学校から大学まで公立。やっぱり根っこは田舎にあります。東京者には負けられないと思って、ずっと頑張ってきたんですが、ここは子どもたちにとっては先祖の縁もゆかりもないところです。今は近所付き合いも希薄ですし、この子たちの根っこってどこに張ればいいのかな?っていうのはずっと思っていました。
うちの子たち、2人とも、今どきの普通のいい子ちゃんなんですね。 あんまり反抗もしないし。でも、私がこういう仕事をしてるので家庭でも色んな学校の話になります。そんな中で自分の学校の話になるとふたりともムキになる(笑)。長男はまだ高校生ですが、大学に入って先生となったら母校に戻りたいと言っています。ああ、都会って、こうやって私学が人の根っこになる役割があるんだと思ったんですよ。
もちろん、中学受験は大学受験のための学校選びでもあるのは確かです。 そういう性質は当然あるんですが、できれば6年間、単なる腰掛けじゃなくて、子どもの人生の中で後ろ盾になるというか、支えになってくれるような根を張れる場所で過ごしてほしいというのが本音です。
確かに聞こえが良くて偏差値の高い、いい学校に入りたいというのは当然なんですけど、やっぱり6年間、大切な我が子を預ける場所です。大学受験については、たとえ押さえの学校に入ったとしても、 そこでトップを取れば指定校推薦で早慶に行けます。 やっぱり、大切なことは、その子が自信を持って行ける学校かどうかってことです。
親に出来ることは我が子を応援することだけかもしれません。入試シーズンが近づいていますが、どうしても言いたいのは、親がまず分かってあげてくださいってことです。 「お前は滑り止めにしか入れなかったんだ」は絶対に言ってはダメです。これから輝く6年間が待っている我が子はそれを聞いた瞬間に「別にやりたくてやったわけじゃない。アンタがやれって言ったからやっただけ」という後ろ向きな思考になるしかないんですよ。







