恐らく、こういう自由度の高い問題に対しては明確な答えというのはまずないと思います。この明確な答えがないっていうのは、最近の入試問題の1つの傾向でもあるんです。ただ、麻布のような伝統ある難関校では、昔からこういう問題を出題しています。その子が自分の考えをしっかり持って、自分の言葉で論理的に相手に伝えることができるかどうかを見てるんでしょうね。
――最近では「自分の頭で考えたことを自分の言葉で書き表しなさい」という思考力を問うような問題が中堅校でも見られます。
論理的思考力が必要だという流れになっています。 最上位の学校でなくても、思考力型の問題が増えているのは、やはり社会の要請というのもあると思います。2016年頃から本格的に始まった文科省主導の大学入試改革で思考力、表現力、判断力といった新しい学力観というのが打ち出されて、それに応える形で大学入試の共通テストが実施されるようになりました。しかし、それ以前から既に首都圏の私立中学校ではそういう力を測る問題が頻出しています。
――過去問は対策しても仕方ない、過去に出た問題だから二度と出ない。それよりも4科目万遍なく勉強したほうが良いという意見もあります。
そうですね、同じ問題は出ません。でも、やはり対策には意味があります。たとえば、同じ偏差値帯の子どもたちとの戦いに出る、あるいは合格圏内には入っていない偏差値で入試を戦うことになったとしたら、過去問でどういう問題が出るというのが分かっていて、それに特化した練習をしておけば、偏差値上位の子たちに競り勝てる可能性が高くなるんです。
ウチの子なんかはその典型だったかもしれません。中学受験をしたときに「いいなぁ」と思う学校がありました。偏差値的にも無理をしない範囲で合格できるだろうという学校があったんですね。でも本人には、その学校以上にどうしても入りたいって学校があって、正直、親は「まあ、難しいかな」と思っていました。それでも、ものすごく過去問をやり込んで、 問題を見たら「これ、何年の第何回の大問いくつだね」と言えるくらいにやり込んでいました。







