「それでも泣きやまなかったら、このおもちゃが好きだから、これをガラガラ鳴らしてあげると喜ぶと思うから」
「うん。それくらい?」
「そうだね、これくらいで大丈夫だと思うよ」
「オッケー、じゃあ行ってきなよ!」
「ホントにいいの?」
「全然大丈夫! じゃあ今日は家のことは気にしなくていいから、楽しんでおいで!」
「ゴメンねー、ありがとう!」
家内はちょいとおめかしをして出かけていった。
家内が家を出てすぐ、体感的には「CoCo壱」がトッピングなしのカレーを出すより早いくらいの時間で娘がかなり大きな声で泣き始めた。家内に言われたことを思い出し、オムツを見てみると案の定、黄色のラインが緑に変わっていた。
<一向に泣き止まない娘
赤ちゃんってわかりやすいな、とうっすらと微笑んで、家内に言われた手順で手際良くオムツを替えてあげた。これで大丈夫、と思ったのだが、娘は一向に泣きやまない。
ん? オムツを替えて欲しかっただけじゃなく、ミルクも欲しいのかな、と思い、これも家内に言われた手順で人肌に温め、飲ませてあげた。娘は、山賊の宴のような飲み方でミルクを飲み干し、これで満足かと思いきや、まだ大声で泣いている。
おもちゃで遊んで欲しいのかな、と思い、家内に勧められたガラガラと音の出るおもちゃでしばらくあやしてあげたが、泣きやむ気配はまったくない。他のおもちゃを次々に試すが、それでもまったく効果なし。
なんとかせねば、と父親としての使命感を全面に押し出し、娘を抱っこし、その辺をウロウロしたり、変顔をしたり、いないいないばあをしたり、赤ちゃんをあやすためのすべての引き出しを、空き巣ばりに開け放ったのだが、それでも一向に泣きやまない。
娘が泣き始めて、かれこれ1時間半。どうすればいいのかまったくわからず、娘より私のほうが号泣したい気持ちになって、完全なるパニック状態に陥り、育児を始めて90分で(このままでは育児うつになってしまう)と、最終ステージに突入してしまった。







